「解決したい困りごとに出会えた!」高校生2チームが挑む社会課題探究をインタビュー!―QUEST CANVAS ソーシャルチェンジワークショップ―

「解決したい困りごとに出会えた!」高校生2チームが挑む社会課題探究をインタビュー!―QUEST CANVAS ソーシャルチェンジワークショップ―
学校事例

社会課題に取り組む探究学習に挑戦したいけれど、どのように進めればいいか分からない、他の学校の生徒たちはどのように取り組んでいるのか気になったことはありませんか?

今回は、教育と探求社が提供する探究学習プログラム「クエストエデュケーション」の社会課題探究コース「ソーシャルチェンジ」を受講し、全国大会でグランプリを受賞したおおぞら高等学校広島キャンパスのチーム「Helpers!」、チェンジメーカー賞を受賞した多治見西高等学校附属中学校のチーム「ほーすぴじょん」の生徒のみなさんにインタビューを行いました。

2023年度にソーシャルチェンジを経験した彼らが、どのように感じ、どんな学びや成長を得たのか、詳しくお話を伺いました。

おおぞら高校広島キャンパス チーム「Helpers!」
「異性の親子関係における成長に伴う身体の変化に関する悩みを、どのように解決できるか」というテーマに取り組む。アンケート調査を通じて課題を分析し、その結果をもとに解決策を提案。親子を対象とした交流会の実施や、Instagramを活用した情報発信を実施。

多治見西高等学校附属中学校 チーム「ほーすぴじょん」
困っている人を見つけることが難しいという問題意識からスタート。チーム内で「私たちを助けてほしいよね」と話し合う中で、左利きのメンバーが抱える困難に気づき、そこから問題を広げていった。

前向きに取り組めた理由は、課題の身近さ

「解決したい困りごとに出会えた!」高校生2チームが挑む社会課題探究をインタビュー!―QUEST CANVAS ソーシャルチェンジワークショップ―

―発表したアイデアに行きつくまでの過程を教えてください。

Helpers!:私たちは身近な友だちの悩みをきっかけに、親子が抱える課題をテーマに探求を行っていきました。まずアンケート調査を行い、その結果をもとに親子向けの交流会を開催しました。この交流会では、相談できる相手を増やすことを目指して設計しました。

交流会実施後にアンケートを取り、足りなかった点をメンバーで話し合いました。その後、学校の先生や参加者の生徒にインタビューを行い、最終的に約600人にインタビューを行いました。

ほーすぴじょん:最初は戦争などの大きなテーマを考えていましたが、なかなか進展しませんでした。そんなとき、「メンバー自身の困りごとを探そう」という話になり、その中で「左利き」というテーマにたどり着きました。

自分たちの身近な問題をテーマにしたことで、より当事者として深く考えることができました。たとえば、左手で文字を書くと手が汚れてしまうことから、左利きの人向けに手袋を作りました。

手袋を制作した後、「知らなければ困っていることに気づかない」という問題に気づき、SNSを使った発信に力を入れ始めました。現在もSNSを通じて活動を続けています。

―どちらのチームも、身近な課題から進めていったんですね。なぜトライ&エラーを繰り返すことができたと思いますか?

Helpers!(Aさん):「授業にするとつまらなかった」という実施後アンケートの結果を受けて、もっと改善したいという気持ちが生まれたからです。

Helpers!(Bさん):私もアンケート結果を見て、特に交流会に参加した男子生徒が生理に関するアンケートに対して「これは恥ずかしいから」と答えたとき、「ここを何とかしないといけないんだな」と課題を実感できたからです。

―探求において、「やらされている」という感覚ではなく、続けられた理由はなんですか?

ほーすぴじょん:テーマが自分たちにとって身近で、自分事として考えられたことが大きかったです。それに加えて、SNSを始めてから反応をもらえるようになり、世界とつながっていると感じられたことも続けるモチベーションになりました。

また、「左利き」に関する投稿がSNS上でまだ少ないことから、自分たちが新しいことに挑戦しているような感覚があり、「この活動には意味があるんだ」と思えたことも大きかったですね。

―自分事としての意識と、他者や社会に貢献しているという感覚ですね。

―活動が加速した理由は何だと思いますか?

Helpers!:友だちが抱えていた悩みをテーマにしたことで、より身近に感じられ、「本当に解決したい!」という気持ちが湧いたからだと思います。私たちも一時はどう進めていいか悩んでいましたが、課題が明確に見えたときに、チーム全員が情熱を持って取り組むことができました。

生徒を伸ばすのは解決策じゃない!探究学習で先生ができる“励まし”の力

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―探求がうまく進まないとき、先生にはどのように接してもらえるといいと思いますか?

Helpers!:行き詰まったとき、先生が解決策を提示するのではなく、私たちの話をしっかり聞いて「がんばれ!」と応援してくれたのがすごく嬉しかったです。また、アンケート配信など、先生ができる部分を積極的に手伝ってくれたことも助かりました。

ほーすぴじょん:私たちも、行き詰まったときに間接的なアドバイスをもらいました。先生は具体的な解決策を提示するのではなく、行動に関するアドバイスをくれたので、視点を変えて前に進むことができました。

Helpers!:「これってやっていいのかな?」と迷ったとき、先生が「やっていいよ」と言ってくれて、オープンな姿勢で応援してくれたのも大きかったです。「やりたいことがあったら、まずは言ってみなよ」と声をかけてくれたので、自由に動けました。

―周りの生徒からアイデアを茶化されたり、否定されたりすることはありましたか?

ほーすぴじょん:そういうことはなかったですね。軽く茶化される程度であれば、逆にアイデアが引き出されることもあるかもしれません(笑)。ただ、行き過ぎた場合は、先生に止めてもらえると助かります。

答えになっているかわかりませんが、発言力のあるリーダーがいると、逆にリーダーに頼りすぎて、他のメンバーが発言しにくい環境になってしまうこともありますね。

Helpers!:私たちはリーダーを立てずに進めたので、みんながフラットな関係で、意見を言いやすい環境でした。

―探究学習を進める中で、先生にはどこを一番見てほしいですか?

Helpers!:「あなたは上手い」「あなたは進んでいない」などと、他者と比べられる評価をされると辛く感じて、探求自体が嫌いになってしまいますね。

ほーすぴじょん:私もそう思います。活動の過程や結果を見てほしいですね。どのように考えて進んできたか、その軌跡を評価してほしいです。

生徒自身が自己と向き合いながら自ら考え行動する

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―探求に取り組む前と後で、自分自身が変わったと感じることを教えてください!

Helpers!(Aさん):中学生の時にも探究学習をしたことがあったのですが、そのときは課題を見つけられず、周りの人がどんどん進んでいるのを見て、探究学習が嫌いになってしまいました。でも、今回は身近な困っている人を考える中で、恩返ししたいと思える人と出会い、「自分でも課題を見つけて解決したいと思えるんだ!」という発見がありました。

Helpers!(Bさん):私はもともと自分の意見を言うのが苦手でしたが、探求を通じて自分の意見を伝えることができるようになり、さらに他者の意見も尊重できるようになりました。

Helpers!(Cさん):中学生の頃、体調が悪くて学校に行けなかったので、人に意見を伝えることに自信がありませんでした。「この自分を変えたい!」と思っていたときにソーシャルチェンジに出会い、探求を進める中で意見を言ってもいいんだと気づきました。先生の応援もあって、やる気や自信がどんどん湧いてきました。性格も以前は暗かったのですが、自信を持てるようになり、変わることができました。

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ほーすぴじょん(Aさん):自分の中に一つの「代名詞」が生まれた感じです。このグループで活動できることに本当に感謝しています。活動が自分の居場所になり、SNSを通じて世界とのつながりも感じられました。

ほーすぴじょん(Bさん):もともと自分に全く自信がなく、他人からもそう言われるくらいでした。リーダーもやらないし、発表のときは台本しか見られませんでした。でも、3人で活動を進める中で、足りないところを補い合う経験ができました。ミスをしても許し合える関係だったので、それが自信につながりました。また、プレゼン力が上がったと感じ、自分の「得意」も見つけることができました。得意を引き出してくれた仲間や先生に感謝しています。

ほーすぴじょん(Cさん):私はもともと負けず嫌いで「負けたらすべて終わり」という考えを持っていました。今回グランプリは取れませんでしたが、「すべてが終わりではなく、やり切った」という達成感があり、自己肯定感につながりました。自分一人ではできないことを何度もメンバーに助けてもらい、今では他の人に背中を預けられるようになりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

どちらのチームも、迷って悩んだ末に、身近にある解決したい「困りごと」と出会い、当事者意識や「解決したい」という気持ちでどんどんと探求が進んでいきました。

また、探求を通して、自分自身を見つめなおし、全員が新たな自分と出会うことができたようです。

身近な一人の困りごとにとことん向き合い、アクションを起こし、新しい世界に触れる経験は、生徒たちにとってかけがえのない経験になります。

インタビューで話題に上がった「自分事化」の大切さや、先生の関わり方が、みなさんにとって少しでも参考になれば幸いです!

生徒たちが実施した社会課題探究コース「ソーシャルチェンジ」についてはこちら

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