【クエストカップ審査委員インタビュー】「やり続けることを大切に」株式会社AsMama代表取締役社長 甲田 恵子さん

【クエストカップ審査委員インタビュー】「やり続けることを大切に」甲田 恵子さん
審査委員インタビュー

2021年2月20日~28日の8日間にわたり開催されたクエストカップ2021 全国大会。全国28都道府県、応募総数3,587チームと数多くのエントリーをいただき、大会では優秀賞209チームが発表し、ついに各部門グランプリ受賞チームが決定して幕を閉じました。

たくさんの素敵な発表の中からグランプリを決定する審査は、いったいどのように行われていたのでしょうか。

今回は、身近な社会課題をテーマとして活動する社会課題探究部門「ソーシャルチェンジ」において、審査委員を担当いただいた、株式会社AsMama代表取締役社長の甲田 恵子(こうだけいこ)さんに、審査をとおして感じたこと、審査の裏側をお話いただきました。


甲田 恵子
株式会社AsMama代表取締役社長

米国留学を経て関西外大卒。環境事業団での役員秘書兼国際協力企画、ニフティ(株)での海外渉外及び上場兼IR主担当、投資会社ngi group(株)での広報・IR室長を経て、2009年(株)AsMamaを創業し代表取締役社長に就任(現任)。(社)シェアリングエコノミー協会理事(現任)。総務省地域情報化アドバイザー(現任)メディア掲載・受賞歴多数。
カップサイト審査委員からのメッセージ


探求は発表がゴールではない

甲田さんにクエストカップに関わっていただいたのは2回目ですね。今年のソーシャルチェンジの審査委員(ソーシャルチェンジではチェンジメーカーという呼称)は、いかがでしたか。

去年はコロナの影響で、クエストカップ全国大会が急遽、オンラインでの開催となりましたね。今回は、皆がオンラインで実施することの不安定さみたいなのも全く感じず、「すごくパワーアップしているな」と感じました。

大人の方が「前はリアルで会えた」とか、過去できたことに引きずられてネガティブな視点で捉えやすいなと思うのですけれど、今はこれが標準。子ども達を見ていると柔軟ですごいなと思いますね。

社会課題の解決を探求する「ソーシャルチェンジ」。今回、審査委員(チェンジメーカー)として発表を見ていただいて、いかがだったでしょうか。

どのチームも面白くて、とても印象的でした。そうですね・・・その中でもやはり「Uber Okan」というサービスを提案した、大阪市立西中学校のチーム「あきたこまち」が印象に残っています。

【クエストカップ審査委員インタビュー】「やり続けることを大切に」甲田 恵子さん

大阪市立西中学校 チーム「あきたこまち」 作品名「Uber Okan」  (▶動画 24:45~)

ファーストステージで選ばれはしなかったのですが、終わった後、「実際具体的に進めていくには、どうしたらいいですか」という話をしていたんです。それに感動して。

大学生の起業プランコンテストで審査員をやらせてもらうと、コンテストが終わったら「終わった、以上!」なんですよね。みんなその「起業プランコンテストで優勝する」ということを目標にやってくるので。

ですから、「具体的にやるにはどうしたらいいのか」という話になるのは、この一年間学んできた中での、探求する姿勢そのものだったんだろうな、と思います。今日の発表はゴールではなく、あくまでひとつのプロセスだということが、皆の中に染み込んでいるのでしょうね。

審査の裏側:「自分たちがやる」視点を大切にした

ソーシャルチェンジでは、ファーストステージで各ブロックの審査委員(チェンジメーカー)により1チームが選ばれ、セカンドステージで選ばれた8チームの中からグランプリを決定しました。
審査では、どのようにしてチームを選ばれたのでしょうか。

私はファーストステージ、ブロック5で審査をしたのですが、どのチームの発表もそれぞれの魅力があって選ぶのが難しかったです。

例えば、浦和麗明⾼等学校のチーム、「何はともあれ中卒」。眼鏡やマスクに隠しカメラみたいなもの入れて、怖い思いをした時にキーワードで支援を呼ぶことができる、という内容の発表で、「これはどこか資金と技術のある会社が、やろうと思ったらすぐに手をつけたいと思うようなサービスだな!」と感じました。あまり聞いたことがないアイデアでしたし、とてもいい提案でしたね。

でも、今回は選ばなかったのですね。

そうなんです。実は、クエストカップの審査については「ビジネスとして」だけでなく、「生徒たちの探求そのもの」をぜひ見てほしいという方針があって。

そうなると、どのチームの探求もすばらしくって迷ってしまいました。「すばらしいビジネスプランだな」というのもそうだし、他にも「この発表には大人も考えさせられたな」とか、「このチームは実際に自分たちでやろうとしていてまさにチェンジメーカーだな」とか。生徒たちの探求を「どの切り口で選ぶのか」は、審査の基準としてあらかじめ決まっているわけではないで、そこからどう選ぶかが難しかったですね。

【クエストカップ審査委員インタビュー】「やり続けることを大切に」甲田 恵子さん

宝仙学園中学校 チーム「Officialかみのけdism」 作品名「私を助けて!」 (▶動画 0:00~)

そんな中で、選ばれたのが宝仙学園中学校のチーム「Officialかみのけdism」だったのですね。甲田さんはどのようなことを大切にしてチームを選んだのでしょうか。

私が大事にしたのは、「自分たちがやる」という視点があるかどうかでした。ソーシャルチェンジを起こしていくのは、「思いつくこと」ではなく「やること」なんです。

私もこれまで様々なビジコンを見てきましたが、「考える」ことって、100人いたら100人できます。だけど、「やる」ことができるのは10人程度、さらに「やり続ける」ことができるのは1人か、ひょっとしたら0.1人くらいです。

だから、他人事ではなくて「自分たちから始めます」という視点があるかどうかを大切にしました。このことは、次世代を変えていくために大事なことだと思っています。

今回の発表でも、障がい者支援や地域活性といった、「世の中の大きな社会課題」に関するものがいくつかあったけれど、そうしたことよりもっと身近な自分たちの課題、例えば「ネット上でも気を遣って疲れる」とか「LINEでハブられたくない」とか、原体験があるものに注目して向き合っていくのもよいかなと思います。

最後に:選ばれたかどうかではなく、やり続けるかどうか

【クエストカップ審査委員インタビュー】「やり続けることを大切に」甲田 恵子さん

最後に、ここまで探求してきた生徒のみなさんへのメッセージをお願いします。

まずは本当に、1年間お疲れ様でした。相手の顔が見える環境で自分の言葉を発することは、すごく勇気が必要なことだったと思います。でもその勇気を出してやったこと、この経験を、どうか忘れないで欲しい。

「世の中が動く」ということは全て、こうして「誰かの顔を見て伝える」ことから始まるんです。

自分の発信した言葉から、世の中変わるんだ、ということを忘れないでほしい。反対されようが、空気が読めなかろうが、まずはぜひ「やってみる」を大事にしてほしいなと思います。

そして、今回賞に選ばれなかったり、大会に出られなかったり、もしそうした経験をしたとしても、自分の声を発することをやり続けてほしいです。チェンジメーカーになる人は、最初に選ばれた人ではなくて、選ばれなかったとしても、言葉に出してやり続けた人なんですね。

私の会社でも、様々なビジネスコンテストに企画を何十件、何百件も出すのですが、最優秀賞をいただいたこともあれば、一次審査であっさりダメだった時もあります。自分たちがやっていることの良し悪しではなく、様々な相性があって、優勝したからいいアイデア、選ばれなかったからいいアイデア、という絶対的な基準なわけではありません。

だから、今回グランプリに選ばれた人も、選ばれなかった人も、自分の声を発する事が出来なかった人も、やってみてやり続けることで、自分の将来も社会も変わる、ということをぜひ心にとめておいていただけたらなと思います。


甲田 恵子
株式会社AsMama代表取締役社長

米国留学を経て関西外大卒。環境事業団での役員秘書兼国際協力企画、ニフティ(株)での海外渉外及び上場兼IR主担当、投資会社ngi group(株)での広報・IR室長を経て、2009年(株)AsMamaを創業し代表取締役社長に就任(現任)。(社)シェアリングエコノミー協会理事(現任)。総務省地域情報化アドバイザー(現任)メディア掲載・受賞歴多数。
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