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中高生と企業がオンラインでつながる!全国17校403名、11社43名が意見を交わした探究学習イベント「第1回クエストMTG」開催報告

探求学習 中高生と企業がオンラインで繋がる「第1回クエストミーティング」
企業との探究学習

2022年10月20日、21日、中高生と企業がオンラインで繋がる「第1回クエストミーティング」が開かれました。

クエストミーティングでは、探究学習プログラム「コーポレートアクセス」で企業からの「ミッション(課題)」に取り組んだ生徒たちが、学校の枠を超え、互いのチームの取り組みを発表しあいます。当日は、全国から17校403名の中高生と11社46名の企業人が参加し、意見を交わし合いました。

今回は、生徒たちの発表内容や、企業の方々とのやりとりの様子の一部をお届けします。

探求学習 中高生と企業がオンラインで繋がる「第1回クエストミーティング」 コーポレートアクセス協賛企業

2022年コーポレートアクセス協賛企業

コーポレートアクセスとは
「コーポレートアクセス」は、探究学習プログラム「クエストエデュケーション」のプログラムコースのひとつ。実在する企業のインターンシップを学校の授業カリキュラムとして体験できるプログラムです。生徒たちは企業から出された「ミッション(課題)」にチームで取り組み、自らの企画を提案します。(詳細はこちら

多様な人の「人間の本気」を引き出す 空間革命を提案せよ!(株式会社オカムラ)

まずご紹介するのは、オフィス家具メーカーとして知られる株式会社オカムラからの「ミッション(課題)」に取り組んだ生徒たちのアイデアです。

株式会社オカムラからの生徒たちへのミッションは、「多様な人の『人間の本気』を引き出す 空間革命を提案せよ!」

これについて、4つのチームがこれまで考えてきた企画をパワーポイントを使って発表してくれました。

百合学院高等学校(兵庫)チーム名:ズートピア
オカムラの家具から教室を変えよう!毎日色や形が違う、人それぞれの机を毎日替えながら、集中力を上げて本気を出せる空間に。教科ごとに壁を変えてリフレッシュも。

滝川第二中学校(兵庫)チーム名:シャイン
インターネット上で本気で競争できる空間を作ろう。人が本気になるためには、興味のあることで競争することが必要。オカムラの椅子に座ってネット上で相手と競争する空間を作り、消費者のストレスや感情データを収集して新しい椅子を開発する。

新潟県立津南中等教育学校(新潟)チーム名:Myself
テーマはNew Space(新しい空間)。世界中の1人1人の個性的な学生に視点を。価値観の違う個性が集まるこの教室で、互いに刺激やアイディアをもらい合える空間革命!

千葉明徳高等学校(千葉)チーム名:We are OKAMURA
コミュニケーションの取りやすい教室、過ごしやすい教室を作ろう。机四つを繋げて設置、壁はホワイトボードでどこでもメモ、天井にスクリーンを投影、椅子にはドリンクホルダー。

生徒たちが発表を終えると、企業の方々や参加している他学校の生徒たちから感想や質問がとびかいます。

たとえば、ミッションにある「人間の本気」について、「人が本気になるためには、興味のあることで競争することが必要」と考えた滝川第二中学校のチームには、株式会社オカムラのマーケティング課に所属する河田佳美さんからこんな問いかけもありました。

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▲株式会社オカムラの河田佳美さん(オフィス環境事業本部 中部支社 マーケティング課 / Open Innovation Biotope “Cue” コミュニティマネージャー)

河田:誰かと競争してその椅子の開発に繋げるという提案でしたが、それは競争しやすいような椅子を作る、というイメージであってますか?

生徒:はい、あってます。

河田:興味のあることをやる、というキーワードもありましたが、そういうときに使う椅子っていうイメージですか?

生徒:はい。はい大体そういうふうになってます。

河田:なるほど、ありがとうございます。ちょっと気になったのは、興味があることをやることは、イコール競争なのか、多様な人たちがそれをやりたいとき、みんなが競争することを望んでいるのか? ということです。もしかしたら、一人で没頭したい人もいるかもしれない。果たして競争だけがいいのか、競争することが、興味のあることに本気で取り組むことになるのかを、「多様な人」の視点から考えてみると、もっとアイディアが深まると思いました。

また、全体に対してはこのような投げかけもありました。

河田:みなさんに共通して、多様な人が本気を出すためのさまざまな工夫は、非常によかったです。でも果たして「もの」を置くことだけが、空間を変えるすべてなのかというところを、もう少し考えてもらうと、また違ったアイディアが出るはずだと思いながら聞いていました。

「どうせ…」を遊び心で大改革する〇〇をUPDATEする新サービスを提案せよ!(ヤフー株式会社)

次にご紹介するのは、ヤフー株式会社からの「ミッション(課題)」に取り組んだ生徒たちのアイデアです。

ヤフー株式会社からの生徒たちへのミッションは、「『どうせ…』を遊び心で大改革する〇〇をUPDATEする新サービスを提案せよ!」

これについて6つのチームが発表してくれました。いったいどのような企画を考えてきてくれたのでしょうか

探求学習 中高生と企業がオンラインで繋がる「第1回クエストミーティング」

大分県立大分商業高等学校(大分)チーム名:ネイチャー
「どうせ・・・」の後に続く「できないこと」を解決するため、まずは付箋を出している段階。現実的な問題としては「教科書が重い」「登校時間が長い」。空想的問題は「天気が悪い」「空が飛べない」。

生光学園中学校(徳島)チーム名:メイプル
Yahoo!知恵袋を進化させ、「先人の知恵袋」サービスの提供。
僕たちは何かにチャレンジするとき、悪いことを想像してしまう。ネット掲示板をヤフーが提供し、そこで成功談を投稿してもらい、効率よく頼りになる情報源をゲット!

天童市立第三中学校(山形)チーム名:ヤフーワールド
世界を平和にしたい! 発展途上国の人たちに、自分たちの良さを知ってもらおう。
発展途上国の貧困は、現地の人がその国で何がたくさん生産されているかなど、良さを理解できていないことが原因の一つ。ヤフーの情報で貧困を解消する。

西大和学園中学校(奈良)チーム名:Mr.J
新サイト「ヤフー料理」で、面倒な献立をおまかせ。考えるのが面倒くさいのは料理という意見が多かったので、冷蔵庫の中に残っている食材を検索して献立を出せるサービスを作りたい。

福岡舞鶴高校(福岡)チーム名:うっせーうっせーうっsayゴー
ヤフー塾を作ろう!「どうせ・・・」のマイナスを、プラスに変えよう。「どうせいい点取れないや」「どうせ成績が伸びないや」だったら「ヤフー塾」を作って、勉強面の向上を図ろうと話し合い中。

福岡舞鶴高校(福岡)チーム名:ショート
できるを実現したい! できなかったことに対して、ネガティブなイメージを捨ててポジティブなイメージを持てるように、お互い声掛けをしたり、失敗を恐れず挑戦できるようなサービスを考え中。

生徒たちの発表後は、企業の方々や参加している他学校の生徒たちの感想や質問がとびかいました。

たとえば、「どうせいい点取れないや」「どうせ成績が伸びないや」といった学生の悩みに対して勉強面の向上を図る「ヤフー塾」を考えた福岡舞鶴高校のチームには、ヤフー株式会社のCSR推進室に所属する小谷浩一さんからこんなアドバイスがありました。

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▲ヤフー株式会社の小谷 浩一さん(コーポレートグループ SR 推進統括本部 CSR 推進室 CSR)

小谷:勉強したって、どうせテストでいい点取れないなど、みなさんにとって、すごく身近な課題であり、悩みなんですね。だから「ヤフー塾」を作るという発想は面白いと思います。だけどヤフーはインターネットの会社だから、いろんな人のニーズを繋ぐことができると思います。例えばみんなのその声が掲示板に載ってて、テスト前に助けてくれと。

意外と、お金がいらなくても教えたい人って、世の中にはいるよね? 役に立つことが嬉しい人もいるから、ただで教えたい人と、教えてほしいみんなのニーズがうまく合致するサービスを作ったら面白いと思いました。とはいえ、みなさんからも何か対価を用意できると、教える人はもっと嬉しいかもしれませんね。

また、全体に向けてヤフー株式会社のCSR推進室に所属する竹安千香子さんからはこのような感想がありました。

竹安:「どうせ・・・」の後には、やっぱりマイナスの言葉がつくところを、しっかり向き合って付箋でいっぱい出してくれて、結構しんどい時間だったと思います。「どうせ・・・」のその先にはどんないいことや、どんな世界があるのか、想像を膨らませてもらいたいと思います。

働くことってなに?中高生と企業人との対話時間

生徒たちが自分たちの企画を発表した後には、企業の方々との対話時間もありました。

会社で働くとはどのようなことなのか。企業の方々は、日々どのように仕事に向き合っているのか。生徒たちは、自分たちの企画をさらに磨くため、また自らの将来や「働くこと」について考えるため、真剣に耳を傾けていました。

株式会社オカムラ 小倉さん神山さんの場合

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▲株式会社オカムラの小倉悠希さん(オフィス環境事業本部 中部支社 マーケティング課 / Open Innovation Biotope “Cue” コミュニティマネージャー)

ー小倉さんは、どんな仕事をしていますか?

小倉:机でガリガリ仕事をするというより、いろんな人と対話して、新しくて面白いことを生み出す仕事をしています。イベント企画など、人が集まるきっかけを作ったり、活動をレポートにして、ウェブサイトやSNSを通して外に発信し、一緒に新しいこと、おもしろいことに取り組む仲間を増やしたりしています。

ー仕事がうまくいく秘訣は?

小倉:わたしたちのチームは3人、結構仲がよくて、「変わってる人たち」とも言われています。3人で一緒に行動していることが多いですし、お互いの話をよく聞き、躊躇しないでとことん話す、そんな時間を大切にできる仲間です。

ー個性がバラバラな皆さんが、なんでも言い合えるチームであるように、生徒のみんなも一つのチームになるためのヒントを教えてください。

小倉:バラバラの3人だからこそ、それぞれが得意なことを、すごく尊重していますね。

一方で、得意なことを任せきりにせず、アドバイスしたり、手伝ったり、困ったら遠慮しないで頼むし、受け止める。3人知恵や力を合わせて解決策を考えていくのが大事だと思っているので、それはみんなにやってみてほしいですね。

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▲株式会社オカムラの神山里毅さん(ブランディング統括室 ブランディングマネージャー)

ー神山さんは、普段はどんなお仕事ですか?

神山:私はブランディング統括室という部署にいます。オカムラを知らない人たちに、どんな会社かを知ってもらうための活動をしています。

たとえば、スパイダーマンとコラボした椅子を作ったとか、私たちが活き活きと働いている様子とか、社会に価値を提供していることを紹介する記事を、メディアやホームページで発信しています。

ーズバリ一言でお仕事の秘訣は?

神山:新しいことを企画するときは、とにかく「なぜ?なんで?」と、自分に何度も何度も問いかけるようにしています。

自分の中で良いアイディアが浮かんだなと思った時にも、「なんでこれが良いのか?」ってもう1回自分に聞くと、本当に良いアイデアなのかがより明確になるんです。とにかくそれを繰り返すことが良い仕事をする秘訣かな。

生徒:オカムラに入っていいと思ったことはなんですか?

河田:みんな人が優しいところです。

相手のことを思いながら、どんな大変なことでも手を差し伸べて、みんなで一生懸命努力して協力し合いながら仕事をしていく文化のある会社だと思います。だから私は、自分のやりたいことにチャレンジできているのかも。

生徒:オカムラがテレビCMをあまり出してないのは、何か理由があるんですか?

神山:個人のお客さまよりは、大きな企業にまとまった数をご購入いただくビジネスの方が規模が大きいからです。最近は新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅勤務が増えているので、自宅用に働くための家具を買っていただく機会が増えてきたので、今後はもしかしたら実施するかもしれないです。

生徒:話を聞いて、仲の良さが伝わってきてとてもうらやましいなと感じました。3人が仲良くなったきっかけはありますか?

河田:小倉さんは、よくお子さんの話をしてくれます。仕事以外のプライベートなことや、さりげない雑談っていうのかな、みんなは知らないちょっとしたことをお互いに話せるようになれたら、もう仲良くなっているのかもしれないですね。

ヤフー株式会社 大野さん竹安さんの場合

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▲ヤフー株式会社の大野憲司さん(コーポレートグループSR推進統括本部CSR推進室2)

ー大野さんはどんなお仕事をしていますか?

大野:僕はCSR推進室というところで、災害の対応をしてます。今日も先ほど福島で地震があったんですが、どうすれば被害を最小化できるか対応しているチームにいます。

あとは法務省と組んで、刑務所の中にいる受刑者が社会復帰をするためのデジタル教育も提供しています。ヤフーの会社見学プロジェクトのマネージャーもしていますよ。ヤフーとはこういう働き方してるんだと、みなさんに伝える仕事です。

ー仕事を企画するとき、うまくいくための秘訣は?

大野:僕は、刑務所での社会復帰訓練という事業を5年ほどしていますが、この企画を立ち上げるとき、「世の中にないもの」に注目しました。誰かの不自由・不安・不満を解消できる企画で、まだ世の中にないものを生み出せたらとても意味があると感じるからです。

ヤフーはインターネットの会社なので、そうした分野が得意な人が集まったチームで働いていますが、どうしても問題を突破できないこともあります。そんなときは、インターネットにはない情報や、あえて遠い人脈やスキルにつながってみることが僕のオススメのアクションです。

探求学習 中高生と企業がオンラインで繋がる「第1回クエストミーティング」

▲ヤフー株式会社の竹安千香子さん(コーポレートグループSR推進統括本部CSR推進室2)

ー竹安さんのお仕事は?

竹安:一つは事業開発です。ヤフーは広告でお金の収益を得て、それを使ってみなさんに無料でサービスを使っていただくビジネスの仕方をしています。

私はヤフーの広告ビジネスなどに関連して、「こんな機能をなるべく早く提供したい!」などをパートナー企業さんとの協業で推進する担当者です。お互いのニーズや希望を会話を通じてすり合わせ、約束事項として契約締結までまとめるということをしています。

もう一つはIT人材育成プロジェクトで、みなさんみたいな中高生に、ITってこんなふうに使えるんだよ、というヒントをお伝えしています。

ー仕事をチームでやっていく秘訣を教えてください。

竹安:社内でも、企業さんとのパートナーシップでも、お互いに気持ちよく長い間一緒にお仕事できることを目指しています。

映画に出てくる交渉みたいに、実は裏でいろんな思惑があるとか、そういうことはしません。分からないことはすぐに聞きます。お互いの思いをきちんと土俵に乗せて、腹を割って話すことを大切にしています。

会議の最初にいきなり仕事の話から始めず、ちょっとお喋りするのも秘訣です。自分の性格も少しずつ開示して、チームとして仲良くなっていくことをすごく大切にしています。

生徒:ヤフーが使っているスーパーコンピューターは何ですか?

大野:名前は分からないけど、スピードだけじゃなくて、省エネのものなどいろいろ使ってますね。

生徒:じゃあ、ヤフーは何を作ってるんですか?

大野:そうですね、見えづらいかもしれませんが、ヤフーはサービスを100個ぐらい提供しています。

具体的には「Yahoo!検索」や「Yahoo!知恵袋」、「Yahoo!乗換案内」もです。ほかにもいろんなサービスが100ぐらいあるので、ぜひページ見ていただければいいなと思います。

竹安:わたしたちは機械は作っていないんです。機械の上で動いてるインターネットという場所で、みなさんに便利さをお届けすることを仕事にしてます。

生徒:ヤフーの2030年までの目標は何ですか?

大野:「アップデートJAPAN」を掲げています。情報技術の力で日本をもっと便利に、ということを目指してます。

第1回クエストミーティングを終えて

参加者がチャットに書いてくれた感想です。

<生徒のみなさん:これからクエストに取り組んでいくなかで大切にしたいことは?>
・想像力
・議論の幅を広げること
・自由な発想
・小さな事でも声に出して伝える!!
・どんどん聞くこと
・たくさんの目線で考えること
・自分たちを見失わない
・みんなで楽しんで、みんなで協力する〜
・コミュニケーション力!!
・互いの意見を尊重し、全力で取り組む!
・Crazy ぶっ飛んだ発想

<参画企業の社員のみなさんから>
・TRY&ERROR 失敗を恐れず、まずやってみよう!! 同じ失敗をしなければいいだけ!!
・いろんな人と話してみて♪
・今日参加する決意をしただけでスゴイこと!
・皆さんの発想は、人類・地球の宝物です!「人類として、やるしかない。」!!
・いい案を作ることよりも、実はみんなで話す時間がかけがえなく、大事!
・枠にとらわれない考えと、とことん楽しむことを忘れずに!
・私ならできる!って思ってみて! 絶対いいこと起こるからね♪
・いい意味でぶっ壊してください! 期待しています!
・皆さん自身がわくわくする企画を!
・諦めずやり続けることが大切
・一緒にがんばっていきましょう!

クエストミーティングは 教育と探求社 の学校コーディネーターが企画進行を担当しています。第1回クエストミーティングを担当した弊社のコーディネーター4人組も、生徒のみなさんや企業人の先輩方に負けないくらい、抜群のチームワークで臨みました。お互いを尊重して助け合えるチームになるため、次回も頑張って準備をします。第2回クエストミーティングもお楽しみに!

探求学習 中高生と企業がオンラインで繋がる「第1回クエストミーティング」

▲教育と探求社のコーディネーター。左上から時計回りに 松岡 貞行、早﨑 亜紀子、深町 奈緒子、菅澤 想。

★「クエストカップ2022 全国大会」のお知らせ★
日本最大級の探究学習の祭典「クエストカップ2023 全国大会」を、2023年 2月18日(土)から2月25日(土)の間の5日間にわたり開催します。当日はYouTube Liveによる配信を行います。最新情報は随時更新→「クエストカップ2023 公式HP

 

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