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【開催レポート】広島県前教育長 平川 理恵氏登壇!「ナレッジカフェ vol.13 これからの学校のリーダーズを考える」を開催しました

【開催レポート】広島県前教育長 平川 理恵氏登壇!「ナレッジカフェ vol.13 これからの学校のリーダーズを考える」を開催しました
イベント

2024年11月2日、大阪にて先生向けイベント「ナレッジカフェ vol.13 これからの学校のリーダーズを考える」を開催しました。ゲストとして広島県前教育長の平川理恵氏をお迎えし、教育と探求社の宮地勘司代表取締役社長と大阪営業所所長の宮北純宏とともに、参加者も交えたパネルトークが展開されました。

リアル・オンライン併せて220名を超える小中高大の先生方や教育関係者にお申込みいただき、参加者の皆様と教育の未来について語り合いました。


「ナレッジカフェ」とは

「ナレッジカフェ」とは、教育に関わる方々に様々な出会いを提供する場として教育と探求社 大阪営業所が定期的に開催しているイベントです。答えのないテーマに対してゲストや参加者が共に語り合うことで生まれる学びを大切にしています。

平川理恵さんからの実践共有

広島県教育長として改革を牽引されてきた平川理恵さん。
平川さんはリクルートで勤務後、留学斡旋会社を起業し10年間経営。その後、民間人校長として公立中学校で8年間校長を務めた後に広島県の教育長を2期6年務め、2023年3月に退任し現在は学校法人金蘭会学園で勤務し、女子教育の再定義を目指し取り組んでいます。

本イベントでは、平川さんのご経験からこれからの学校現場を引っ張っていく「リーダー」にはどんな要素が必要かということを対話を通して考えました。
平川さんは冒頭にこのように発言されました。

先進国の子どもたちは軒並み100歳以上生きることになります。それを『嬉しい』と思ってもらわないと困るわけです

学校での教育は、これからの社会を生きていく子どもたちが対象です。そして彼らが「長生きすることを嬉しい」と感じるためには、学校教育の質を向上させることが不可欠です。単に知識を詰め込むだけでなく、健康的かつ豊かな人生を送るためのスキルや価値観を身につけることが求められます。未来を担う世代が変化する社会に柔軟に適応し、自己実現を図ることを可能にするために、平川さんは教育改革を進められました。

その中で平川さんは「カリキュラム」「カルチャー」「システム」が重要だと考え、それらを「教育改革の3つの柱」と述べています。

「教育改革の3つの柱」について実践されてきた取り組みを平川さんにお話いただきました。

【開催レポート】大阪の先生向けイベント「ナレッジカフェ vol.12 『お金の力』で探求する新しい社会」を開催しました
平川さんがお話される様子

教育改革3つの柱①:カリキュラム

教育の選択肢を増やすことが重要であると考え、不登校の増加を背景に、自由で柔軟なカリキュラムを提案。広島県では、生徒が自分で時間割を組む取り組みを実施し、自己肯定感の向上と授業の質の改善につなげました。

教育改革3つの柱②:カルチャー

教育委員会の業務を見直し、主体的で対話的な学びが生まれる職場文化を築きました。業務の優先順位を見直し、不要な業務を削除。また、「個別最適な学び担当課」の新設やフリーアドレスの導入で、活気ある職場を目指しました。

教育改革3つの柱③:システム

入試改革の一環として内申書を廃止し、生徒に自己表現の機会を増やす工夫を行いました。この取り組みにより、生徒の95%が肯定的な自己評価を示すようになりました。さらに、予算の効率的な運用や研修形式の見直し、異なる視点の導入なども進められています。

参加者との対話「もし教育長になったら何をしたい?」

そして平川さんの教育長時代のお話を受けて、参加者のみなさんとともに
明日からあなたが理事長や社長、教育長、校長になったとしたら、まず何をしたいですか
というテーマで対話をしました。

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参加者の皆さんが話し合う様子

その中で出てきた「挑戦したい改革」をいくつかご紹介します。

・定期考査を全廃する
・通知表を廃止する
・定型的な修学旅行などの行事を廃止する
・テストやペーパーテストに囚われず、生徒たちを多角的に評価する
・初任研という仕組みの改革を進める
・教育長になったら、県内の全ての教員と生徒たちでウェルビーングを目指す
・校内フリースクールを全県に作る
・指導主事を海外視察に行かせ、いろんな教育を学ばせる

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参加者が前で話す様子

これらの意見に対して、平川さんからご自身の体験を踏まえたアドバイスもありました。例えば、研修の仕組み改革については「各項目別に実施していた研修を、実際に業務として行うときの流れに沿って実施する。そうすることで、受講者がすぐに活用できるようになる」といった内容です。

実際に、平川さんは広島県の教職員向け研修を改革。研修内容をブルームの分類学に基づいて見直し、カリキュラムを作成する流れにそって実施することで、すぐに現場で活用できる「本質的な問い」を学ぶ研修へと変えました。その結果、教職員の専門性と指導力の向上に繋げることができたそうです。

参加者との対話
「教育改革、先生方の協力が得られないときは?」

他にも参加者からは、「改革を起こすには先生方の協力が必要だがなかなかうまくいかないことが多い
という意見が挙がりました。
それに対して平川さんはご自身の経験からこのように話されました。

「校長をやっていた時は、絶対に諦めないと決めていました。その人をどうやったら奮い立たせられるかと考えたとき、『あなたはなぜ先生になったのですか?』という質問を投げかけるようにしました。すると、『これしかなかったからです』と返ってくることがありました。ただ、本当にいやなら辞めているはずです。なぜ辞めないのですか?』と聞くと、言葉に詰まるんですよね

「『なぜ先生になったのか』大学の時に『これだ』と思ったのでしょう。その初心を思い起こすと、やはり理由があるのです。本人も自覚していないことを自覚させることで、それがモチベーションの源となり、先生としての根本を明らかにします。そうすることで、『先生、そんな素晴らしい考えをお持ちだったのですね。一緒にやりましょうよ』となります」

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平川さんがオンライン参加者と交流する様子

平川さんは、こうもおっしゃっていました。

「結局、『正直な心』で人を貶めようとすることなく、正々堂々と生きることが大切なのだと思います。私も時には人から批判を受けますが、予想もつかないことですし、ただ正直な心で向き合っていくしかありません」

「また、『人を相手にせず、天を相手にする』という考え方をもとに、他者との対話を通じてリーダーとして自分自身の信念を持ち続けることが周囲の人々に良い影響を与えると思います。

平川さんからのメッセージ

最後に、平川さんからは以下のメッセージがありました。

「最近、大阪に来て1ヶ月で、約100人のスタッフ、大学の全職員、中高の教員全員と面談を行いました。一人ひとりに最低30分、多い時は2時間、1対1で話をしました。

質問内容は、『なぜ先生になったのですか? あなたの経歴を教えてください』『どの仕事が今まで楽しかったですか? これからどうしたいですか?』、『この組織についてどう思いますか?』というものでした。共有できると感じたら、『一緒に頑張りましょう』と声をかけ、多くの方から『頑張ります』との返事をいただきました。

少し大変だと感じる方には、その方がおっしゃることに対してさらに問いかけました。フォローアップというよりも、まずは相手の話をしっかり聞くことが大事だと実感しています」

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平川さんの最後のメッセージ

「私もこの10月から新しいことに取り組んでいますが、正直なところ、うまくいくかどうかはわかりません。自信があるかと聞かれると、不確定な要素がたくさんあるのは否めませんよね。そういったことは、自分の力ではどうしようもない部分もありますから。だから、できるところまでやろうという気持ちで進めています。

それに、きれいごとはあまり好きではなく、現場で実際に手を動かしてやることが好きなんです。それだとライブ感があるじゃないですか。だから、毎日地味ではありますが、着実にやっていくことがとても大切だと思っています。

きっと皆さんもそれぞれの現場で、ご苦労されていると思います。苦労していない人なんていませんよね。そんなリーダーでも、『こんな私だけど』と思いながらやっています。でも、こういう仲間がいることで、悩んでいるのは自分だけではないと感じられることは、大切だと思います」
平川さんが大切にされている「対話を通して仲間を増やしていくこと」は、一朝一夕では叶いません。しかし、今日から一歩ずつコツコツと取り組んでいけば、いつか大きな力になるかもしれません。その力で、今日の教育がますます良いものになっていくことを願っています。

今後の展望

これからもナレッジカフェは、大阪で探求をテーマとしながら交流の渦を起こしていきます。様々な方が出会い、新たな可能性が広がる、そんなお手伝いをさせていただければと思います。

2025年3月9日、弊社のプログラムを導入いただいている関西の学校や大学関係者や企業の方を対象に、「QUEST HEROES」というイベントを開催いたします。このイベントを開催する目的は、生徒たちが探究活動の成果をより多くの生徒たちが社会に発信できる機会を届けたい。そして、結果だけでなく過程の大切さに気づき、自己の成長や可能性に目を向けて次の一歩を踏み出すきっかけを作りたい。大阪営業所が開所以来続けてきた「ナレッジカフェ」に生徒と大人が共に集い、探究の先に広がる可能性を語り合う場を届けたい。QUEST HEROESとは、そのような想いを形にするために生まれたイベントです。ここに集った人々が、新たな可能性に触れ、自らの探究を始める一歩を踏み出す場となることを願っています。本イベントを通じて、すべての生徒が自身の物語を持つ主人公であることを実感し、その歩みの価値を再認識しながら、新たな一歩を踏み出せるきっかけを提供したいと考えています。

どなたでも参加可能ですので、参加希望やお問い合わせは(osaka@eduq.jp)までご連絡ください。

さらなる成長を続けていくの大阪営業所の今後にぜひご注目ください!

次回のナレッジカフェの開催もお楽しみに。

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参加者の集合写真

※お問い合わせは(osaka@eduq.jp)もしくは(03-6674-1234)まで

学校コーディネーター 平見 佳久

2024年教育と探求社に入社。学校コーディネーターとして関西を中心とした小中高校向けに探究学習プログラムの提供、ファシリテーターなどを務めている。小学校教諭...

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