「ずっと教師になりたかった」大手企業を経て歩みだした自分の人生。【学校コーディネーターインタビュー―Vol.1 平岡和樹】

「ずっと教師になりたかった」大手企業を経て歩みだした自分の人生。【学校コーディネーターインタビュー―Vol.1 平岡和樹】
学校コーディネーター

こんにちは、元クエストカップ全国大会大学生スタッフ、現大学院生のあやです。今回もファンライターとして、クエストエデュケーション(以下クエスト)のあれこれに切り込んでみたいと思います!

さて、前回、生徒たちと企業人が集まるクエストミーティングをレポートさせてもらいました。

▼前回の記事
ファンライターあやの「クエストミーティング」潜入レポート

そこでひとつ印象的だったのが、学校コーディネータ―の方々の生徒たちとの関り方。あらゆる教室から何十人もの生徒たちが集まる場が、すさまじいスピードで一体感を増していくファシリテーション。生徒たちが前に出た瞬間、その学びのチャンスを必ずキャッチして、上手に後押ししてくれる・・・。

そんな学校コーディネータ―とは、いったいどのような人たちなのでしょうか?学校現場でどのようなことをされているのか、どのような想いを持っているのか、インタビューをしてきました!

「教師になりたい」自分と向き合えなかった高校時代

最初にお話をうかがったのは、2020年3月に教育と探求社(以下、探求社)に入社された、平岡和樹(ひらおか かずき)さん。平岡さんは京都大学教育学部卒業後、新卒でリクルートに就職。学生時代からの「教師になりたい」という想いから、今は探求社で学校コーディネータ―として教育に関わっています。

ー平岡さんは大学卒業後、新卒でリクルートに就職されたとうかがいました。なぜそこから、探求社で学校コーディネータ―をすることにしたのでしょうか。

実は、本当は、ずっと教師になりたかったんです。

僕が通っていた高校は、「受験がんばるぜ!」という感じの学校で、同級生たちの多くは法学部や経済学部を目指していました。そんな中で、「先生になりたい」というのは、当時の僕にはなかなか難しいことだったんです。

「いい会社に入る」「弁護士や公認会計士になる」といったことを目指すのが当たり前なんだと思ってしまって、なかなか自分らしく生きることに向き合えていなかったと思います。

ーそうだったんですね。大学では、教育とは離れて過ごしていたのでしょうか。

いえ、結局、教育学部に進みました。やっぱり教育に関わりたくて・・・。
大学に入ってからは、公立の中高一貫校対策の専門の塾で講師として働き始めました。小学生を対象として、自分の関心事にも繋がっていた「協働的な学び」の実践に、チャレンジしていました。

―「協働的な学び」!どのようなことをされていたのでしょうか?

ほんの一部ですけどね(笑) 公立の中学受験は、「入試」ではなく、あくまで「適性を見る検査」という位置づけです。

適性試験では、表現力を問う作文や、自ら課題を発見して解決策を述べる課題など、私立入試にはないユニークな問題が出題されます。それに合わせて子どもたちの思考力や気づく力をのばす授業を、塾では積極的に取り入れようと試みていました。

正解ではなく「湧いてくる想い」を大切にする授業づくり

「ずっと教師になりたかった」大手企業を経て歩みだした自分の人生。【学校コーディネーターインタビュー―Vol.1 平岡和樹】

たとえば作文の授業。一般的な作文教育は、まず主張を書いて、理由を書いて、具体例を書いて…といった”型”を教えるのが定石です。

しかしその前に、一人ひとりが内発的に「面白いな」「書きたいな」と思えること。それが大事だと考えていました。

型や作文の点数の取り方を教えていくと、別に思ってもいないことをきれいに書けちゃう子どもが量産されてしまうことなんですね。忖度まみれで、「大人への正解探し」ばかりが成り立ってしまう。やっぱり、そこに歯止めをかけなきゃいけない、とずっと考えながらやってましたね。

具体的には、講師に大学での研究についてたくさん語ってもらったり、毎週ブックリストを配っておすすめの本を紹介したり。授業内では、子ども同士がディスカッションする時間を大切にしていました。

まずは書きたいことが芽生えるよう、「他人と違っていいんだ」「何でも言って良いんだ」という教室づくりを大事にしていましたね。この部分は、クエストと共通している部分もあるのではないかと思います。。

―ちなみに、国語という教科の役割はどのように捉えていらっしゃいますか?

国語という科目の捉え方については、自分の中でも変化していきました。

学生時代、塾にいた頃は、小学生に「協働的な学び」を意識した授業を実践する一方、中学生・高校生に教える時は、「点数を取る武器」として国語を扱うこともありました。大学での研究や卒業論文では、国語は「学ぶことに対するやる気やモチベーションの基盤をつくる」と捉えて、「どうやって生徒が主体的に学ぶのか」「そのために先生はどういう実践や評価を行うのか」ということを考えていました。

最近、特に探求社に入ってから改めて思っているのは、「言葉は世界を見る眼鏡の役割を果たす」ということです。どの言葉をどう解釈するかって、その人の認識とか世界の見え方を変えていくことだと思うんです。自分の物語をどう作れるかということが、しなやかに生きていくためには大事で、そのためには言葉の力がいる。また、それを柔軟に更新していけることも、とても重要だと思っています。

例えば、文章を読んで筆者が書いていることと自分を相対化すること。同じテキストを読んだ時に、隣にいる友達は違う風に解釈をしているということ。そういうことで、自分と他者の違いを明確にした上で、自分はどの立場に立つか、というのを理解する。

「言葉を通して他者と自分を相対化し、自分がどう生きるかを常に更新して物語を作り続けていくこと」が国語の一番コアにあるのかなと、最近は思ってます。最近はVUCAと言われるような不安定な時代でもあり、その中で国語はそういう役割を果たすのかなと。

大手企業に就職するも「自分の人生を生きよう」と決意

ーその後、新卒で企業に就職されたんですよね。その時は教師になろうと考えなかったんですか?

はい。教育実習が終わった後、正直なところ、教師になるということへのアクセルを踏み切れない部分がありました。アルバイト先の塾の同期達がどんどん一流企業の内定を出していくことにも、ライバル心があったりして。

「自分は、いずれ教師になるなぁ」とは思いつつ、一旦、社会に出てから教師になる方がいいのでは、と考えるようになりました。

それで、学生時代のアルバイトで、自分で広告を作ったりしていたこともあり、「広告って面白そうだな」と思ってリクルートに入社したんです。

ー2年半、企業で働いてみて、どうだったのでしょうか。

そうですね、当時の僕は、「売りたいクライアント」と「買いたいカスタマー」、それぞれの求めることをどう一致させるか、どうニーズを満たすかということを考えて働いていました。

でも、僕にとっては、商品が売れようと売れまいと、自分の人生の中で、本当はどうでもいいことなんじゃないか、と感じてしまったんです。
そんな中で、残業も増え、想像以上に多忙な状況になって、「何やってんのかな…俺。」と内省する機会があり、「そろそろ自分が本当にやりたいことに向き合おう」と考えるようになりました。

今思えば、そのまま教師になる道もあったのですが、当時の僕には、本気でその夢に向き合う体力がなくて。前職とのギャップも大きいし、まずは教育の会社で教育業界のことを勉強し直そうと思いました。

ーそんな中で、探求社と出会ったんですね!

そうなんです。「自分らしく生きる」という理念と、それを生徒に教材として届ける、そして全国の先生に普及していったり、一緒に授業作っていったりすることが魅力的に感じられて学校コーディネーターとして、スタートすることになりました。

「一緒に未来を作っていく仲間」として教室に入っていく

「ずっと教師になりたかった」大手企業を経て歩みだした自分の人生。【学校コーディネーターインタビュー―Vol.1 平岡和樹】

ー実際に、学校コーディネータ―として学校現場に関わってみて、いかがでしょうか。

最初は、「いろんな仕事があることを子どもたちに伝えるのかな」「その仕事をしている大人たちから、いろいろ仕事の話を聞けるといいのかな」と漠然と思っていました。

それは、間違ってはないと思うんですけど。本質はもうちょっと違うところにあるというのを、最近はようやくわかりはじめていて。

「大人も、正解ないんだ!」っていう(笑)

大人、子どもというよりも、「一緒に未来を作っていく仲間」として教室に入っていくことがすごく大事だと思っています。

「大人が子どもに教える」という構造を、どうやってクエストに協力いただいている企業の方と一緒に協力して越えていけるか、ということを価値として感じ始めています。大人の方が学んで帰ることが多い場合もありますし、大人が学ぼうとする姿勢でいることこそ、生徒も学ぶ意欲をかき立てるきっかけなのではないかと思っています。

―大人も子どもも、一緒なんですね。学校に訪問する中で、印象に残ったことなどはありますか。

質疑応答の時間に、生徒から「平岡さんにとって、幸せってどういうことですか?」なんて質問が飛んでくるんですよ。僕は、「ちょっと待って…。」と言いつつ、「逆にどう思う?」なんて聞いたりして(笑)

「生まれ変わっても今の仕事に就きたいですか?」、「20年後どういう未来だったらもっと生きたいと思いますか?」といった質問も頂きました。中学2年生の教室だったのですが、「これは本気で向き合わなければいけない…。」と感じましたね。

問われることで、自分の中で改めて考えることもあるし、それに生徒たちも応えてくれたことが、学びになりました。やっぱり、一人の人間として、生徒たちは先を生きてるな、教わることがたくさんあるな、と実感しました。

―学校コーディネータ―として、学校や先生方とはどのように関わっているのでしょうか。

まず、前提として、授業のことや生徒のことを一番理解し、誰よりもチャレンジしているのは現場の先生だという、圧倒的なリスペクトを日々感じています。

学校コーディネーターという立場において、僕らは探求のプロではありたいと思っています。ですが、それをどうやって教室に展開するのかは、先生方がプロフェッショナルなので、先生方が思う理想に向けて、それをどうやって実現するかをお手伝いしたいと思っています。
「業者として」ではなく、「パートナーとして」信頼関係をどう作っていけるかということだと思いますね。

そして学校コーディネータ―として、先生方や生徒にとって新しい問いを与え続けられる人でありたいな、と思っています。

授業に入ったとき、生徒に接するとき、クエストをやっている中で、どうやって次の問いを立てるかを導ける存在でありたい。先生にとっても、もっといい授業って?という事やそのつくり方って何だろう、生徒像、学校像を問うための触媒でありたいです。

僕が与えられることなんて、まだほとんどなくて。まずは先生方がこれからの学校を考える上での、刺激、風…そういう存在であることに価値を感じてもらえたりするのかなと、今は思っています。

―ありがとうございます!最後に、平岡さんが教育でこれから進めていきたいこと教えてください。

まず、具体的なテーマとして、「教科学習でも探究的な学びを実現するためにはどうすればいいのか」ということに関心があります。これは現在、探求社内で積極的に検討に関わっていることでもあります。

全てを探求的な学びにする、と言うと言い過ぎかもしれませんが、先生方がひとつの武器として「探求」という学び方を習得して、場づくりやクラス運営ができれば、日本の教育に寄与できるのではと思っています。そういう世界を探求社がリードして作っていけたら理想的ですね。

個人の話でいえば、僕、やっぱり教師になりたいと最近改めて思っているんですよね。30歳くらいにはなりたいなぁ、って勝手に言ってるんですけど。自分が実践者として学校に入ってみたいという気持ちはすごくあります。その中で自分が思う教育の姿や、国語という切り口を通して生徒たちに何を伝えられるんだろう、ということは、当事者として探求していきたいし、そういう未来を描きたいなと今は思っています。

―平岡さん、ありがとうございました!

今年探求社に入社し、生徒と同じ目線ではじめてのクエストに携わっている学校コーディネーターの平岡さん。今年度はコロナの中、多くのイレギュラーを強いられつつも、生徒との触れ合いの中で常に価値観をアップデートされている姿が印象的でした。

「自分らしく生きる」という探求社のメッセージに強く惹かれたという平岡さん。クエストを通じて、高校時代から貫かれてきた教育への熱意を生徒たちの元へと届けてくださるのがさらに楽しみです。

あや

元クエストカップ大学生スタッフ。クエストファンライター。大学院在学中で社会学を専攻。研究対象は「魔法少女アニメ」。

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