企業と生徒が取り組むテーマは「自社の魅力を発掘せよ!」クエストミーティングに、企業人68人と生徒520人がオンラインで集いました。
10月22日、26日にオンライン開催した「クエストミーティング」。クエストエデュケーション企業探究コース「コーポレートアクセス」に取り組む全国21校520人の中高生と、中高生のインターンを受け入れる企業12社より68人が参加しました。「コーポレートアクセス」は教室で実在する企業にインターンをし中高生が企業と共に未来をつくるプログラムです。
「会ったことも話したこともない人としゃべるのは初めてだった」
クエストミーティングは、「コーポレートアクセス」の中間地点にあるイベントです。クエストに取り組む各学校の生徒が集まり、企業から受け取った課題「ミッション」をさらに探求するためにインターン先の企業人や同じ課題に取り組む他校の仲間と交流する場です。
今年度は、オンラインでの開催となり、全国から例年以上にたくさんの生徒のみなさんが参加してくれました。ネットで誰とでも簡単に繋がれる時代に生きる生徒たちにとっても、初めて出会う他校の生徒や企業人との交流はとてもドキドキする体験のようです。
初対面でも本音で「対話できる」のがクエストミーティングの魅力。オンラインでのグループワークに、生徒も企業人もチャレンジのスタートです。
企業人は「先輩」、生徒は「インターン生」に
▲コーポレートアクセスに参画する12社
生徒は企業のインターン生として、教室にいながらも、フィールドワークやアンケート調査などのお仕事体験をリアルに重ねていきます。この場でオンラインとはいえ「先輩社員」とはじめて直接会い、テキストデータや動画からは知ることのできない先輩のナマの声に触れます。また、先輩に直接質問をすることで新たな視点や問題意識も芽生えてきます。今回のクエストミーティングの「自社の魅力を発掘せよ!」というテーマを肌で理解し、次第に熱量が増していくインターン生の姿も。
先輩・・・儲かることが目的じゃなくて、いいんですか?
▲大正製薬のグループワークで次々と質問の手が挙がります。左下が先輩社員の小山貴之さん。
インターン受入企業ごとにグループに別れ、先輩社員と生徒たちの対話が深まっていきます。大正製薬グループでは、先輩社員が企業理念について語リます。「みなさんの健康に寄り添う活動の対価としてお金をいただくんですが、社会に貢献することこそ企業の存続理由なんです。お金儲けの前に、一番優先的に考えなきゃいけないのがその仕事は社会に貢献しているのかどうかです。」
すかさずインターン生から飛んできた質問
「あの、お金儲けが最優先の目的でないってことですが、それで、どうやって会社を存続していけるんですか?」
率直な、ど真ん中の質問を先輩社員も真摯に受け止めます。
「考え方の順番として最初に考えなければならないのは、その人の悩みを解消してあげるための商品を提供するということ。」
「買ってもらうために作ってるんじゃないんですか?」
「人の悩みに寄り添うような商品を提供することによって、はじめてみなさんにお金を出して買っていただくことができる。その小さな活動を真剣にやってそれを繰り返すことで利益を出して、そこで得た利益をまた次の投資に使ってまた新しい商品を作ることができるんですよ。あなたの暮らしを真に豊かにするための商品を生み出し、買ってもらう、そのサイクルですね。」
質問は次々と。
「さっき先輩から、マーケティング本部でPR活動をされている、と聞きましたが、どんなことをするんですか?」
「リポビタンDなどを、若い人に買ってもらうために、どんな戦略をしているんですか?」
「商品を考えるときに行き詰まることがあると思うんですがど、そんな時はどうしますか?」
生徒たちは、この機会を逃すまいと次々と先輩社員に疑問をぶつけ、やりとりは真剣味を帯びていきます。
課せられたテーマは、自社の魅力を発掘せよ!
▲アデコグループの先輩社員お二人。インターン生にとって、人材派遣に対する新たな発見多し!
質問タイムでウォーミングアップした後は、ついに今日のメインテーマである「企業の魅力を発掘せよ!」に向き合います。まずは自社について調べてきた情報や先輩の言葉から、「好きだ」と「意外だった」と思ったフレーズを出し合います。
◆大正製薬グループの例:
「”あなたの健康のそばに”っていうHPの言葉がいいな、って思いました。」
「ファイト〜〜一発〜〜!かな。それだけで元気になれる感じで。」
◆アデコグループの例:
「人材のザイの字が、財産の”財”っていうのが好きで、ただ使われるんじゃなくて、そこにその人が居ることの価値のイメージが印象的でした。」
「”アデコグループが目指すのは、人財の躍動感です”というフレーズで、一人ひとりを生かすってかっこいいなと。」
「SDGsに貢献というのがたくさんあって意外でした。」
自社は誰を笑顔にしていますか?
▲あなたを笑顔にしたい! 教育と探求社スタッフの二人。
最後のグループワークでは、「自社は誰を笑顔にしていますか?」という問いに向き合います。生徒たちは、インターン先企業と自分たちだけの世界から飛び出して、自社が社会と深くつながっていること、思いもしなかった分野の多くの人たちと関わりがあるということに気がつき始めます。
フォレストアドベンチャーグループは「笑顔」という言葉で盛り上がりを見せていました。大規模な開発をすることなく、“森をそのまま活用”するフランス発祥の「自然共生型アウトドアパーク」フォレストアドベンチャー。そこで働く先輩たちは元気いっぱい。「誰か」を笑顔にするためには、まずは「自分自身」がハッピーであることがとても大切なんだ、そんなメッセージをインターン生は受け取っていました。
「everybody happy と言っており、いいなと思った。」
「森や動物もハッピー」
「日没と同じ時間に仕事が終わる、素晴らしい。」
「仕事に変わりはないが、社員さんたちが楽しみながら笑顔で仕事していることがすごい。」
見えない誰かの笑顔だったり、涙の先の笑顔だったり・・・各企業によって笑顔の答えはさまざまですが、「社会貢献」というキーワードのみに捉われることなく、また大人が引いた道筋にも縛られることなく、「自分自身の笑顔」にベクトルを向けて深く哲学をはじめる生徒たちの姿がありました。中高生と企業人、異なる文化を持ったものたちが真剣に向き合い、対話することで思わぬ化学反応が生まれます。探求活動の持つ奔放さと奥深さがそれを可能にするのです。
コロナ禍だって、社会と繋がりたい
過去最大規模で開催された「クエストミーティング」。コロナ禍にも関わらず、いやコロナ禍だからこその大きな盛り上がりと深い学びを実現することができました。教科書では学べない社会のダイナミズム、現実社会で生きる先輩社員たちの本気の言葉。全国どこからでも参加できるオンラインだからこそ多くの中高生が生の学びに触れ、対話を深めました。クエストカップまで残り3ヶ月です。彼ら、彼女らの探求の旅路がどこまでいくのか、今から楽しみでなりません。
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