形だけじゃない!探究学習の活動を充実させる3つのポイント【先生のための振り返り企画 Vol.2 幹】

形だけじゃない!探究学習の活動を充実させる3つのポイント【先生のための振り返り企画 Vol.2 幹】
探究学習入門

「グループワークがなかなか盛り上がらない」

「話し合いが雑談のようになってしまう」

「生徒たちの学びとなる探究学習をするには、いったいどうしたらよいのだろう?」

いざ活動が始まってからも、探究学習の授業がどのようにすればうまくいくのか、悩むことは多くありますよね。

昨年の探究学習を振り返る本企画、第2回の今回は、探究学習の「活動」についてみていきます。解説は、教育と探求社でプログラムの開発を手がける佐藤瞬です。引き続き、探究学習の全体像をとらえながら、ぜひ去年までの探究学習を振り返り、次年度につなげていきましょう!

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探究学習の「幹」である探究活動

前回は探究学習を「木」に見立て、どのように学びが起こっていくのかを見ていきました。

探究学習の「土台」に注目できていますか?【先生のための振り返り企画 Vol.1 根っこ】

木は、土壌に「根っこ」を張り、成長して「幹」が伸びて太くなり、そして「果実」をつくります。そして探究学習における各要素を、以下のように見立てて考えてきました。

根っこ:生徒自身の「信念・物事の見方」
幹  :話し合いや調べ物など探究学習中の「活動」
果実 :プレゼンやポスターなどの「成果物」

これらはひとつひとつが独立した要素として存在するのではなく、それぞれの要素が複雑に絡み合い、相互作用しあいながら学びが生まれています。

今回は2つめ、探究活動の「幹」について詳しくみていきましょう。

前回の「根っこ」についての記事はこちら

グループワークの話し合いが雑談で終わってしまう!

探究学習の「木」では、「幹」は成長しながら「根っこ」から吸い上げられた栄養を「果実」に届けます。「幹」とは、探究学習の活動で、例えば、話し合い、調べ物、フィールドワーク、アンケートなどが挙げられます。

探究学習の活動が形だけになっていると、せっかくグループワークで話し合いをしてみたりアンケートを実施してみても、雑談ばかりになってしまったり「楽しかった」だけで終わってしまったりします。また、作業として「言われたからやった」で終わってしまうこともあるでしょう。生徒たちが授業をつまらなそうに受けていたり、先生の言われた通りにしか作らなかったり、自ら何かを作る意識を持つことができないという話はよくあります。

一方で、探究学習の活動が形だけではなく、中身がともなったものとなっていると、生徒たちはより多くの触発を得ることができます。「こんな考えもあるんだ!」「こういう物事の見方もあるのか」と新たな視点や考え方と出会って生徒たちの視野が広がったり、これまで考えていなかったようなことを自ら考えはじめるようになります。

自分ならではのこだわりが生まれてきて、「もっとこうしたい」「これを実現したい!」と思いが深まっていき、自然と探究学習にも前のめりになり、自ら工夫していいものを作ろうとしていきます。

それでは、探究学習の活動である「幹」を、形だけでなく充実させたものとするにはどうしたらいいかみていきましょう。

形だけじゃない!探究学習の活動を充実させる3つのポイント【先生のための振り返り企画 Vol.2 幹】

「話し合い」「アンケート実施」といった形だけに注目しすぎない

「幹」、すなわち探究学習の活動を充実させたものにするために、まず意識したいのは形だけに注目しすぎないということです。

探究学習といえば、グループワークで話し合いをしたり、アンケート調査を行うイメージがあるため、「話し合いをした」「アンケートをとった」など、活動の形に注目してしまい、「話し合いや調査が実施できれば、それでよいだろう」と考えられてしまうことがよくあります。

そうなると、活動の形だけは実施していても中身がともなっていない学びになりがちです。それでは生徒たちは話し合いやアンケート調査を体験し、その経験やスキルを得ることにはなっても、探究学習の活動によって新たな視点を得たり、視野が広がったり、自ら考えはじめるといった内面の成長を得にくくなってしまうのです。

もちろんそのような中でも自ら発見して視野が広がるなど学んでいく生徒はいますが、先生の意識が変わるだけでも、活動を通じて生徒に学びが起きる可能性は大きく変わります。まずは「話し合いをした」「アンケート調査をした」といった形のみならず、「そうした活動を通じて生徒たちの内側に何が起こっているか」に意識を向けていきましょう。

探究学習の「幹」、活動を充実させるには?①:問いかける

それでは、生徒たちの内面の変化に意識を向けたところで、具体的に何をすべきかをみていきましょう。話し合いやアンケート調査といった活動を通じ、生徒たちの視野が広がったり自ら考えを深めていくような充実した探究活動とするには、いったいどのようなことをすればよいのでしょうか。

まずひとつは、「問いかけ」をどんどんしていくことです。

形だけじゃない!探究学習の活動を充実させる3つのポイント【先生のための振り返り企画 Vol.2 幹】

生徒たちは活動中に様々な刺激を受けています。話し合いで自分とは違う新しい考えに出会ったり、アンケート調査で知らなかった他の人の視点に出会ったり…。そこで「何を感じているのか?」「どう思ったのか?」を先生が問いかけることで、生徒たちは感じたこと考えたことを言語化するきっかけができます。言語化しようとすれば、自らの思いを自ら理解しなければなりませんので、「自分はどう思うか」「どう考えるか」思考が触発されていきます。

とはいえ、問いかけといっても、はじめは何をどう問いかけたらよいのか、わからないこともあるかもしれません。まずは先生自身が、先生と生徒という立場をいったんおいて、ひとりの人間として生徒に関心を持ってみるのはいかがでしょうか。「この人は何を感じたのかな」「どう思ったのかな」「それはどうしてなんだろう」と、自然と聞きたいことが出てくるかもしれません。

例えば、生徒たちが活動してみてどうだったか、以下のようなことを聞いてみたいと思いませんか。

・どう思った?
・どう感じているの?
・どんなことで悩んでいるの?
・なぜそこにこだわりを持ったの?
・そう考えたきっかけはなに?

先生が興味津々に問いかけることで、生徒たちはつい答えたくなってしまいます。はじめはあまりやる気がなかった生徒も、先生の問いかけによってだんだん関心が高まっていくことはよくあります。

ただ、生徒たちが思うように答えてくれなくてもあせる必要はありません。問いかけをしても、はじめは生徒たちもうまく答えられなかったり、自分の考えを話すことができないかもしれません。

まずは何度も何度も様々な角度から問いかけをしてみましょう。すぐに生徒に変化が訪れると思わず、じっくり見守る心の余裕も大切です。

探究学習の「幹」、活動を充実させるには?②:生徒の思考に寄り添ってサポートする

そして、生徒たちと話す際にはひとつ気を付けるべきポイントがあります。それは、先生自身が自分の考えを押し付けない、ということです。

先生がうっかり「これが正しい」と思うことを正解として話したり、「こんなふうに考えてほしい」ということを生徒に言ってしまうと、生徒たちは自ら思考するのをやめてしまいます。そして、「先生が言ってほしいことはなんだろう?」と正解を当てにいくゲームになってしまうのです。これでは生徒の思いがこもらず、先生にとっても「本当にこれでよいのかな?」と感じるような探究学習になってしまいます。

そこで、生徒たちに「答えを提示する」のではなく、生徒たちが自ら考え、自ら答えを出していけるように「サポートしていく」という、先生側の意識が必要です。これはもしかすると、言葉でいうほど簡単なことではないかもしれません。

例えば、探究学習の授業で、「自分自身がどうありたいか」をテーマにしてクラスで考えているとします。その時、ある生徒が「お金持ちになりたい」と語ったらどうでしょうか。

「もっと真面目に考えて欲しい」「これだと教室に掲示できないな」と思って、「別なことでは何かない?」と聞きたくなるかもしれません。

先生として、そのように考えることは当然です。しかし、もしそのように「別のことは何かない?」と聞いてしまえば、生徒にとっては「お金持ちになりたい」という自分の意見は「先生に無視された」と感じられてしまうでしょう。

「思ったことを言ったけれど、それではいけないのだ」「先生がほしがっている答えを言わなければ」と考えて、別の答えを探すでしょう。もうやる気をなくして、自分の意見を言ってくれなくなってしまうかもしれません。こうして「自分の考えはだめだ」と自己肯定感が下がったり、人がほしい答えを推測していうことに力を尽くすようになっていってしまいます。

形だけじゃない!探究学習の活動を充実させる3つのポイント【先生のための振り返り企画 Vol.2 幹】

だからといって、思ってもいないのに「それは素晴らしい」と、先生が生徒の考えに合わせることもあまりよくありません。生徒は嘘を感じるでしょうし、先生もストレスがたまるでしょう。では、どうすればよいのでしょうか。

この例で言えば、「お金持ちになりたい」と思うに至ったわけについて聞いていくことが考えられます。

なんでそう思ったのだろう、他のことよりもお金に価値をおいているのってなぜなのだろう。生徒の考えや答えに関心を持ち、一緒に答えを探していくパートナーとして、共に考えていく姿勢で関わっていく。

そうすることで、生徒は励まされ、答えのない問いに向き合い、自ら考えて答えを出すことを楽しめるようになるでしょう。そしてそうした生徒の成長は、先生にとっても何よりの感動や楽しみになるはずです。

「答えのない問い」との向き合い方については、ぜひこちらの記事もご参照ください。

探究学習の「幹」、活動を充実させるには?:③生徒の思いが駆動する場づくり

そして最後に、生徒たちの探究学習の活動を充実したものとするには、活動に「思い」をのせることが大切です。

生徒自らの思いがのっていれば、「もっとこうしたい」「これはどうなんだろう?」と思考がはたらきます。どのようにすればよりよくできるかを自ら工夫したり、探究活動で探究するものにこだわりや愛着が生まれてきます。

また、探究活動が”自分ごと”になるため、話し合いやアンケート調査といった機会がただの雑談や作業で終わりません。「この人はこう考えるのか」「こんな視点もあるのか」と新しい視点を得るきっかけとなり、考えてもみなかったことを考えるようになったり視野を広げることにつながります。

このように探究学習の活動で生徒の思いが駆動するためには、生徒たちが安心して自分の考えや思いを発信できる「安心安全の場」づくりが大切です。安心安全の場とは、「どんな意見が言われても承認されて、受け入れられる場である」ということです。

これは、前回お話しした探究学習の「木」の「根っこ」、生徒たちの信念や物事の見方の成長と深く関わっています。

生徒たちの思いが育つにはどうしたらよいか、「根っこ」の詳細については前回の記事をぜひご覧ください。

https://quest.eduq.jp/selfcheck-vol1

形だけじゃない!探究学習の活動を充実させる3つのポイント【先生のための振り返り企画 Vol.2 幹】

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、探究学習の「木」の2つめの要素、「幹」についてお話しさせていただきました。探究学習の「幹」とは、話し合いやグループ活動など、探究学習の活動のことです。

探究学習の活動では、「話し合いをしたかどうか」「アンケート調査をしたかどうか」など、ついつい何をしたかばかりに目がいきがちですが、形ばかりにならないためには生徒の内面に意識を向けることが大切です。そして、生徒たちの内面の成長に寄与する充実した探究活動とするには、先生が生徒たちにたくさん問いかけをすること、答えを押し付けず生徒の意見を聞きサポートしていくこと、そして生徒たちの思いがのるように心がけることがポイントでした。

そして心にとめておいていただきたいことは、探究学習の活動は一回ですぐに変わるものではないということです。はじめから「当事者性がなくてだめだなあ」「生徒の思いがのっていないな」と判断してしまうのではなく、少しずつ生徒の内面に起こる変化を待ち、長期的な視点で見守っていきましょう。

次回は、探究学習の「木」の3つめの要素、「果実」についてお話しします。「果実」はプレゼンやポスターなど、「幹」での活動で刺激を受け成長してきた思考や情動の一部が成果物となったものです。それではまた次回、お楽しみに!


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教育と探求社 開発部 佐藤 瞬

上智大学大学院総合人間科学研究科教育学専攻博士前期課程修了。大学院在学中に、青年海外協力隊として中米・ベリーズに小学校教員として派遣。2年間の勤務後に、公立...

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