「生徒の力を引き出す学び」クエスト実践校紹介 渋谷教育学園
「クエストエデュケーション」で、生徒は正解のない課題に探求的に取り組み、主体的、体験的に学んでいます。
「生徒の力を引き出す学び」をダイナミックに実践する二つの学校、渋谷教育学園および西大和学園のトップにお話をうかがいました。 この記事では、 渋谷教育学園 渋谷中学高等学校 副校長 高際 伊都子 先生のお話を紹介します。 (所属は2016年当時のものです。)
「”恐れを知らない”強み、生徒たちがいかんなく発揮」
本校ではクエストエデュケーションを開始時から導入したので、プログラムに参加してすでに10年以上になります。この学校には「自調自考」という教育目標があって、その軸に沿って様々な取り組みをしているので、探求型のクエストエデュケーションとは相性が良かったと思います。
総合学習の時間を使って生徒たちの言語的な表現力を伸ばしたいと考え導入しました。本校では中学1年生の頃からプレゼンテーションを経験する機会が多いのですが、授業の中では先生や同級生が聞き手なのであまり刺激がありません。
自分たちとは違った目線を持つ企業人の方が聞き手になることで、普段のプレゼンでは得られない経験ができると考えました。
「プレゼンで多様な価値基準を知る」
クエストにおける企業からのミッションは、具体的なものも抽象的なものもあり、生徒にとって何が正解かが分からない取り組みです。
毎年、生徒たちがクエストの予選とは別に自主運営の校内発表会を開いているのですが、そこで生徒たちの投票でトップになるチームと、予選を突破して全国大会に出場するチームが異なることも多いですね。
教員はプレゼンの完成度が高いかどうかを見るし、同級生はアイディアやパフォーマンスが面白いかどうかを見ます。しかし、企業の方はミッションに対して本質的にどのようなイノベーションがあるのかを見るのだと思います。生徒たちにとって、多様な価値基準を知るという意味で良い経験になっているようです。
「保護者の方からの感謝の声も」
当初はあまり想定していなかったのですが、生徒と保護者の方とのコミュニケーションのきっかけが増えるという効果もありました。
企業からのミッションについて考えるうちに、大人たちの仕事に関心を持ち、一番身近な大人である親の仕事の内容について尋ねることが多いようです。学校としても、成績や勉強のことばかりではなく、そういった話しを親子ですることで、お子さんの成長を実感してほしいと考えています。
ある保護者の方からは、子供と話す機会が増えたことを学校に感謝しているという手紙までいただきました。一般的に中学3年生くらいだと親とはほとんど話さない子も多いですから、クエストが生徒たちにとって家で話したいイベントになっているのはとても有難いです。
中高生にとって就職活動はかなり先なので、大学生のように企業の方を前にして萎縮することはありません。企業の強みも弱みも遠慮なく分析し、私たちから見ると失礼に思えるようなこともズバッと言いますし、企業の方もそれを受け止めてくださっています。良い意味で「恐れを知らない」のが本校の文化なのですが、クエストはそれをいかんなく発揮する場になっているように思います。
渋谷教育学園渋谷中学高等学校(東京都渋谷区)
1995年創立。「自調自考」を教育理念とし、高校では3年間かけて12,000字の論文を制作させるほか、大学のように「シラバス」と呼ばれる冊子を生徒を配布するなど、先進的な取り組みを進めている。国際教育にも力を入れており、SGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定を受けている。
※この記事は2016年に発行されたクエストペーパーより一部編集、転載したものです。
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