集まる人たちがそれぞれの素晴らしい部分を存分に注げる場づくりを。【学校コーディネーターインタビューVol.2 東寛美】
こんにちは、元クエストカップ 全国大会大学生スタッフ、現大学院生のあやです。今回もファンライターとして、クエストエデュケーション(以下クエスト)のあれこれに切り込んでみたいと思います!
前回は、学校コーディネーターの平岡和樹さんにインタビューさせていただきました。
生徒・先生・企業を繋ぎながら、学びをサポートする学校コーディネーターの仕事ですが、生徒との関わり方や意識していることなどは、コーディネーターによって様々です。
引き続き、学校コーディネーターたちがどんな想いを持っている日々探究学習の現場と関わっているか、インタビューしてきました!
「誰にでも学びの機会を」に惹かれた
今回お話をうかがったのは、2015年4月に教育と探求社(以下、探求社)に入社された、東 寛美(ひがし ひろみ)さん。東さんは東京学芸大学卒業後、新卒で地元の銀行に就職。その後再び上京して探求社に入社し、現在は学校コーディネータ―として、全国の様々な学校に関わっています。
―東さんは大学卒業後、地元に戻り、銀行に就職されたとうかがいました。なぜそこからもう一度東京へ出て、探求社で学校コーディネータ―をすることにしたのでしょうか。
もともと大学時代に教育関連のことを学んでいたこともあり、ずっと学びに関することをしたかったんです。
私は学芸大学で、「生涯学習」という学科を専攻し、教員免許を取得しました。
アルバイトやNPOでも、教育関連のことばかりやっていましたね。大学のゼミでは、公民館等で地域の人達と集まって語り合うような、「学びの場づくり」にも取り組んでいました。
そんな感じだったので、就活でも大手の教育系企業を受けていたんです。でもそのときはご縁がなくて。「教育とは全く違う畑に行ってみよう!」と思い、地元の銀行に就職しました。そうして2年間銀行で働いてから、2015年に教育と探求社に転職したんです。
ーそうだったんですね。教育の会社の中でも、なぜ探求社に就職することにしたんですか?
転職先を探していた際、偶然探求社を知ったんです。Facebookで大学時代に教育関係でお世話になっていた方がシェアした記事を見て「面白そう!」と思いました。
特に、「学校の授業の中で探求的な取り組みをしていく」という考えに共感して。学校というのは塾と違って、誰でも行くことができますよね。すごくやる気がある子も、全然ない子も、みんなに「探求的な学び」に触れる機会をつくろう、という考えに惹かれました。
生徒たちが「ふざけて出したアイデア」を否定しない
ークエストカップで、担当校の生徒たちに囲まれて慕われていた東さんの姿がとても印象的でした。学校訪問の際、東さんがコーディネーターとして意識していることはありますか?
学校コーディネーターとして教室にうかがい、授業に入らせていただく機会があるんですね。そのときに「あえてバカになってみる」とか「一緒に面白がる」ということを意識しています。生徒たちにもっと自由に楽しんでほしいので、まず私自身が真面目になりすぎないようにしています。
例えば、先日ある学校を訪問したとき、牛丼店の企画を考えていた生徒たちが、「アイドルグループを出す」「ゲームを出す」「5Gとコラボする」といったユニークなアイデアを出していたんです。でも、生徒たち自身はそれを「こんなふざけたのは企画にならない」と思っていて。ちょっとした落書き、みたいな感じで紙の下半分にしか書かないんですよ。
でも、本当はそういうアイデアが魅力的だったり、面白かったりしますよね。
だからそういうときは、「それ、めっちゃ面白いじゃん!」と率先して面白がるんです。そうすると、生徒たちも「これでいいんだ!」と思って、そのアイデアを考えはじめてくれることもあります(笑)
ーすごいですね!話し合いがどんどん盛り上がっていきそうです。
私も最初からそういう関わり方ができたわけではなくて、先輩コーディネーターや先生方から学んで意識するようになりました。
あとは、「生徒たちが考えていることや感じていることを知ろう」ということも思っています。今の生徒たちは、自分が高校生の頃とは感覚も全然違っていて、知ろうとしなければわからないことがある。先生方から生徒たちのことをいろいろと教えていただいて、刺激をもらうことも多いです。
コーディネートのスタイルには「これが絶対だ」というものはないので、日々、生徒と関わっていく中で迷いながら、考えたり工夫しています。
先生、企業人とともに学びをつくっていく
ー先生のための研修プログラム「ティーチャーズ・イニシアティブ」にも、サポートメンバーとして関わってているとうかがいました。研修はどのような様子なのでしょうか。
※ティーチャーズ・イニシアティブとは
「先生こそが真に未来をつくることができる」という考えの元、先生自身が「主体的・対話的で深い学び」の実践者となることを目的とした研修プログラムです。
https://teachers-i.org/
「ティーチャーズ・イニシアティブ」のプログラムでは、プログラム内容の構築やファシリテーションをしています。先生方がプログラムを通して、自ら学び、成長し、変化していく姿が本当に印象的で、私も、みなさんの姿にいつも力をもらっています。
プログラムにいらっしゃる先生方は、「より生徒の好奇心を引き出す授業や教室運営をしたい」「より本質的な学びを生徒に届けたい」といった意志を持って、自主的に参加しているんですね。生徒に対して、深い愛情や想いがある。
そうした先生方の想いや、本当にお忙しくて大変なこと、葛藤されていることを知って、「私たちは先生方をどうサポートできるんだろう」ということをすごく考えるようになりました。
先日、プログラムに参加していた先生が「本当に素晴らしい人たちが集まっているから、ここは毎回素晴らしい時間になるんですね。」とおっしゃっていて。それに対して社長の宮地が「それは、ここに集まっている人たちの素晴らしい部分を、皆がここに注いでるから起こっているんですよ。」と話していたんです。それが、すごくいいなと思って。私もクエストで、集まる人たちがそれぞれの素晴らしい部分を存分に注げるような、そんな場を作っていきたいと強く感じました。
―先生方とともに、コーディネータ―さんも学び、成長しているんですね。企業の方々とは、どのように関わっているのでしょうか。
企業の方と一緒に学びの場をつくっていく部分も大きいですね。「クエストで探究学習に取り組もう」というときに、やはり初めからすごくやる気がある生徒たちばかりではありません。そうした時に、企業の方が学校に来てくださったり、オンラインでつながって、自らの経験やお仕事について直接語ってくださると、生徒たちは目をきらきらさせて話を聞き始めたり、話しはじめたりします。
また、過去には、こんなこともありました。中高生が探究の成果を発表する「クエストカップ 全国大会」という場があるのですが、その出場チームを決める審査の場面で、発表時間が10分間とされているのに3分間しか内容がない作品があったんです。その作品を、企業の方々が着眼点の面白さに気がついて、選出した。すると、チームの生徒たちに火がついたんでしょうね。そこからものすごくブラッシュアップして、最後はなんと企業賞を受賞したんです。
こういうのは、企業の人たちと真剣に向き合ってやっているからこそだなと思っていて、本当に面白いなと感じています。私はそのとき、企業の方々の視点に全然気付けませんでした。探求社だけでは見えないところも、共に見ながら、話しながらやることで、一社だけではできないことができるんだなと思います。
「集まる人たちがそれぞれの素晴らしい部分を存分に注げる」場づくりをしたい
ーありがとうございます!最後に、東さんが教育でこれから進めていきたいこと教えてください。
クエストにおいては、クエストカップ 全国大会が終わった後も含めた、トータルの学びに目を向けたいと思っています。
たとえば、出場できなかった子たちに別の発表の場をつくったり、クエストに関わりたいと言ってくれるOB・OGの子たちの活躍の場を増やしたり。
生徒たちにとってクエストはその年で終わってしまいますが、その子自身の人生は続いていきますし、先生たちの人生も続いていきます。生徒たちが自分らしく生きれること、そして先生たちが自信を持ってそんな生徒たちを見送れるということを、サポートしていきたいです。
そのためにも、先ほどお話したような、「集まる人たちがそれぞれの素晴らしい部分を存分に注げる」、そんな場を作っていきたいと感じています。
―東さん、ありがとうございました!
生徒たちの「ふざけた」アイデアを面白がって「これでいいんだ」と思わせてくれたり、先生方の葛藤も知ってサポートを考えたり、心に寄り添いながら生徒や先生方と関わっている東さん。
「集まる人たちがそれぞれの素晴らしい部分を存分に注げる」場づくりという、先生や企業の方々巻き込みながら、生徒のために最適な場をつくっていくコーディネーターという仕事ならではの課題に真摯に取り組まれている姿が印象的でした。
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