世界中の子ども達をつないで、ドラマチックな体験を届けたい。【学校コーディネーターインタビューVol.3 岡本多永】

世界中の子ども達をつないで、ドラマチックな体験を届けたい。【学校コーディネータ―インタビュ―Vol.3 岡本多永】
学校コーディネーター

こんにちは、元クエストカップ全国大会大学生スタッフ、現大学院生のあやです。今回もファンライターとして、クエストエデュケーション(以下クエスト)のあれこれに切り込んでみたいと思います!

今回は、昨年のオンラインイベントでも鮮やかなファシリテーションが魅力的だった、元英語教員の学校コーディネーター、岡本多永(おかもと たえ)さんにお話をうかがいました。

▼昨年のオンラインイベントの様子はこちら。ファンライターの私も心を鷲づかみにされました!

人生がドラマチックになった教員経験

世界中の子ども達をつないで、ドラマチックな体験を届けたい。【学校コーディネータ―インタビュ―Vol.3 岡本多永】生徒たちの素晴らしいパフォーマンスに感激のハグ生徒たちの素晴らしいパフォーマンスに感激のハグ

多永さんは、教員として4年間専門学校に勤めた後、アメリカに留学。帰国後は「教室から世界を変える」を掲げる認定NPO法人「Teach For Japan」の研修プログラムで、英語教師として2年間学校現場に赴任しました。その後2019年に探求社へ入社し、現在は学校コーディネーターとして全国の生徒たちの学びをサポートしています。

―元学校教員とのことで、どのような教員時代を過ごされたのか教えてください!

私が教育に携わるようになったのは、専門学校に就職したことがきっかけでした。

実は、元々教員に強い思い入れがあったわけではないんです。最終的にビジョンに惹かれて選んだのが、専門学校の教職員という仕事でした。

だから、初めて教壇に立った時は、正直少し後悔しました。赤や緑の髪をしたギャル達を前にして、「この子たちの担任になるのか…!」と思ったのです。

ーそうだったんですね!

しかし、そんな私が今も教育に携わる仕事をしているのは、教員としてそのギャルたちと関わりながら、彼女たちから大切なことを教わったからなんです。

入社してすぐ、私はオープンキャンパスのボランティアスタッフをしてくれる生徒を、クラスから出さなくてはならなくなりました。「遊べる休日にボランティアなんて、自分が生徒だったらきっとやりたくないだろうな…」と思いながら、それでもボランティアスタッフを選ばなければなりません。「生徒たちがやりたいと思えるような、ボランティアスタッフの魅力はあるだろうか」と、その晩は寝ずに考えました。

そして翌日、私は考えたことを生徒たちに語りかけてみました。「明日から社会人になってって言ったらできる人?」いつもは元気よく騒いでいる生徒たちが自信なさそうに、しんとしました。「ボランティアスタッフになればタダで社会人として必要になることや、おもてなしの心を学べて、昼食も出る、こんないい経験はない!ボランティアスタッフをやりたい人はいる?」すると、クラス全員の手が上がったのです。その時、通じ合えた、と感じました。生徒の気持ちになって考えることの大切さ、自分だったらどう思ったかを考えることの大切さを知りました。

それから、どんな世代でもどんな見た目でも、もしかしたら文化や国籍が違っても、通じあえるんじゃないか、そしてそれはとてもドラマチックなことだと思ったんです。

ーその経験が、今の多永さんの人生につながっているのですね。

そうですね。教員の仕事もどんどんやりがいを感じるようになりました。私の英語の授業では、ブルーノマーズのYouTubeを小さなテレビに爆音で流して、生徒のテンションも私のテンションも上げてから授業に入っていました。ベテランの先生からは、「落ち着かない生徒が多い中でそんなことしたらいけないのではないか」、と相談されたこともありましたが、子どもたちと楽しみながら、成績で結果を出していくうちに、私が授業する上で大切にしたいことを分かってもらえるようになりました。

英語の授業だけではなく、学校に「ヤング・アメリカンズ」という英語で行う歌や踊りのワークショッププログラムを導入したこともありました。自分を表現したり、仲間たちとひとつのものを作り上げることを体験できるワークショップです。

導入した後も、周囲の理解を得られず、悔しくて泣いたり、心が折れそうになったこともありました。だけど、それでもあきらめられなかったのは「この学びが生徒たちに届かないなんてありえない!」と思っていたからです。

思い返すと、失敗だらけで、気持ちだけで突き進んでいた部分も大きいですね。自分自身が傷ついてしまった時は、いつも子どもたちに勇気づけられていました。

先生の努力や生徒たちの成長に感動したオンライン発表会

世界中の子ども達をつないで、ドラマチックな体験を届けたい。【学校コーディネータ―インタビュ―Vol.3 岡本多永】Zoomを使用したオンライン中間発表会の様子

Zoomを使用したオンライン中間発表会の様子

―学校コーディネーターになってから、心が動くようなドラマチックな体験はありましたか?

たくさんありましたが、印象的だったのは、山形県の公立中学校、天童市立第三中学校での出来事です。

天童市立第三中学校は公立ということもあり、様々な調整が必要で、2年間かけてクエストを導入した学校です。しかし、ようやくこれからクエストを始められるという初年度に、新型コロナウイルスの感染拡大が起こってしまったんです。

「それでもなんとか生徒たちに学びを届けたい」と、ICT機器の調達や、ZOOM等のオンラインツールの利用といった不慣れな状況にも、先生方と一緒に、懸命に対応してきました。そのかいあって、生徒たちの探究学習は進み、オンライン上で中間発表もすることができました。

Zoomを使用したオンライン中間発表会では、たくさんの企業人が集まってくださいました。大阪や東京など、離れた土地からもリアルタイムで繋がれていることに、生徒たちのテンションも上がっていましたね。

コロナの影響で運動会や文化祭、修学旅行などの学校行事も無くなる中、生徒たちに、少しでもドラマチックな体験を用意できたことが嬉しかったです。

パワーポイントが使えないとのことで、生徒たちの発表は紙芝居形式のものでした。注目してほしい部分はカメラに紙芝居を寄せたり、パッと手元を引いて全体を映して動きをつけたり、上手に工夫していて、彼らにしか出せない魅力があったなぁと思います。先生も学校紹介の紙芝居を作って、生徒たちと一緒に発表してくださっていて、とても心が温かくなりました。

参加してくださった企業の方々からも、「久しぶりに心ときめきました」「すごいピュアな発表でした」「紙芝居も味があっていいですね」といった言葉をいただいて…。この学びを届けるためにがんばってくださった先生方や、生徒たちの成長を思うと、私も嬉しくなって涙が止まらなくなってしまいました。

私は「ドラマチック指数」という言葉をよく使っていて、人と出逢えば出逢うほど、経験値を積めば積むほど人生はドラマチックになっていくと考えています。「ドラマチック指数=出逢った人の数×経験値」です。

私自身もドラマチックな人生を歩みつつ、生徒たちのドラマチック指数を上げることができる教育者になりたいと日々思っています。

会場が一体感を増すファシリテーションの秘密

世界中の子ども達をつないで、ドラマチックな体験を届けたい。【学校コーディネータ―インタビュ―Vol.3 岡本多永】学校をまたいだ中高生とのワークショップ

学校をまたいだ中高生とのワークショップ

ー多永さんといえば、ファシリテーション力がすごいなと思っています。先日オンラインイベントでも、心地よく、会場が一体感を増していくようなファシリテーションに私も感動して…!あのようなスタイルはどうやって身につけられたのでしょうか?

そんなに褒めていただけて嬉しいです。(笑)

実は、あのように前に立って話すことが、得意なわけではありません。場をまとめようというときに、教員時代は教室で大声で怒ることもよくあったし、会社の会議でも「教壇に立った者しか分からんこともあるはず!」と思ったりして、つい言動がキツくなることもあったんです。あんなふうに会場を楽しくまとめたり、盛り上がるようには全然できませんでした。

でも、そんな自分をなんとかしたくて、ある研修に行ってみたんです。そこで自己の内面と向き合ったとき、「英語教員で世界を股にかけた教育者になりたい!」と言いつつ、「無意識に多様性を受け入れられていない自分」もいることに気づいてハッとました。差別はよくない、と言いながら初対面の人に対して「この人はこういう人かもしれない」と先入観を持ったり、相手をすぐジャッジしたりする。そういう自分の器の小ささに気がついたのです。それから、自分と違う意見や考えも自然に受け入れられるようになって。

そうしたことが、どんな意見が出ても大丈夫、みんなで作っていこうというやわらかなファシリテーションに繋がったのかもしれません。自分の中で課題だったので、クリアできたのだとしたらとても嬉しいです。

ー生徒たちがチャットに書き込んだり前に出た瞬間に、声をかけたり後押ししてくださるのも、心地よいなと思いました!場のクリエイティビティがあがるというか。

生徒たちの褒め方については、私が在籍していたNPO法人「Teach For Japan」の、当時の理事だった木村泰子先生に教わったことが大きいです。

木村先生が、「ほめられてうれしい先生にならなあかんし、ほめるタイミングを逃したら、その子とってはなんのこと?ってなってしまうから。」とおっしゃっていて、ファシリテーションの際もタイミングは特に意識していますね。

地球の反対側の人とも「面白い」と言い合える経験を

世界中の子ども達をつないで、ドラマチックな体験を届けたい。【学校コーディネータ―インタビュ―Vol.3 岡本多永】

各国の教師が集まる「TeachForAll」での登壇

ー最後に、多永さんが教育でこれから進めていきたいこと教えてください。

クエストを海外に持っていきたいです。昨年は「ソーシャルチェンジ・イングリッシュ」の体験版の英語ページを作り、世界に向けてリリースしました。

→「ソーシャルチェンジ・イングリッシュ1st」

今後は、日本の子どもたちと世界の子どもたちを繋いで、チェンジメイカーたちがそろって行うワールドトーナメントのようなものを開催したいと考えています。

世界とつながることで、子どもたちの孤独を解消できればと思います。世界とつながる体験には、日本の中で近くに恋人や友達がいて…という身近なつながりだけでは得られない、絆を感じることのできる力があると自分の実体験から思っています。

英語ができると、世界に発信できる機会は明らかに増えます。日本語だけだと日本にいる人にしか伝わらなかったことも、英語で自分のアイデアを言った瞬間に地球の反対側の例えばエクアドルの人にも通じる。そういう経験を日本の子どもたちや海外の子供たちにもさせてあげたいと思っています。例えば、日本で自分の居場所がないと思っていた子が、北欧のエストニアの子たちにおもしろいって言ってもらって友達ができたとか。自分を理解してもらえた経験こそが、ラブ&ピースにつながると思うので、そういった場をリアルでも、オンラインでも実現したいです。

ー多永さん、ありがとうございました!

海外での多永さんの活動も、これから追っていけたらと思います!

あや

元クエストカップ大学生スタッフ。クエストファンライター。大学院在学中で社会学を専攻。研究対象は「魔法少女アニメ」。

プロフィール

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