グランプリ受賞!「自分たちにしかできない発表を考えた」淳⼼学院中学校
2021年2月20日~28日の8日間にわたり開催されたクエストカップ2021 全国大会。全国28都道府県、応募総数3,587チームと数多くのエントリーをいただき、大会では優秀賞209チームが発表し、ついに各部門グランプリ受賞チームが決定して幕を閉じました。
グランプリを獲得した生徒たちは、いったいどのように学校で探求してきたのでしょうか。
今回は、進路探究部門「ロールモデル」でグランプリを受賞した淳⼼学院中学校、チーム「Freedom」のメンバーに、探究学習プログラム「クエストエデュケーション(以下、クエスト)」での取り組みの様子についてお話をうかがいました。
※写真右前から時計回りにリーダーの起塚龍玄さん、 藤森渉さん、芦谷卓登さん、原龍之介さん、林浩太朗さん
▼グランプリ受賞チーム特集はこちら
クエストカップ、「ロールモデル」グランプリ受賞!
グランプリおめでとうございます!受賞した瞬間の気持ちはいかがでしたか?
起塚さん:とても嬉しかったです。
藤森さん:構成だったりカメラワークだったり、周りのレベルがすごく高くて。そんな人たちが集まっている中でグランプリをとれたというのが、すごく嬉しかったです。
引き込まれる演出と物語。作品はどのように作られたのか?
今回、チーム「Freedom」のみなさんは「信夫、野菜たちの声を聞け」というタイトルで、帝国ホテルの料理長をつとめたフランス料理シェフ、村上信夫の物語を発表しました。フードロスに対するメッセージをのせた物語の構成、オンラインならではの演出が魅力的でした。
どのようにしてこの作品が作られたのでしょうか?
起塚さん:村上信夫さんをテーマにしようとみんなで決めたあと、どの場面をいれるか案を出し合って、それをもとに僕が脚本を作って。できあがった脚本を全員で見直して「もっと他にいいのないかな」と考えを出し合い、改善を繰り返していきました。
脚本をつくる中で、野菜や食べ物を主人公にしたら面白いんじゃないかとか、最初にあえて村上信夫さんを出さずに「バイキングを作ったのは誰だろう?」という話から入って興味を持ってもらうとか。アニメや漫画、小説などをよく読んでいるので、話の作り方ではそれも参考になったなぁと思います。
藤森さん:「フードロスを減らそう」っていうのが、この作品で伝えたいメッセージなんです。「村上さんの料理への思いを、もっと具体的に表現したい」と考えたときに、食材を愛して、おいしく調理することに情熱をささげた村上さんなら、きっと現在の大量のフードロスの問題を嘆くだろうと思ったんです。
無駄にされているとき、食材は泣いている、食材は「おいしく食べてほしい」と思ってると僕は感じたし、村上さんもそんな食材の声が聞こえると思う。だから、食材を大切にしようというメッセージを伝えるために、作品中で「食材の声を村上信夫に聞いてもらう」演出にしました。
なぜ村上信夫さんをテーマに選んだのですか?
芦谷さん:村上信夫さんを選んでグランプリをとったチームがないと聞いたので、「じゃあやるか」ということになったんです。
起塚さん:グランプリをとりたかったので、難しいのかもしれないけれど、「これまでないということは逆にチャンスがある」と思ったんです。村上信夫さんは他のロールモデルの方々のような、大きな失敗はないのですが、今当たり前になっている「バイキング」を作っていたり、すごいなと思うのでそうしたことを表現できたらいいなと思いました。
原さん:僕は、村上信夫さんはご両親が早く亡くなられているのですが、そういった状況の中ですぐに自分で働き出す決断力の早さがいいなと思いました。とにかくポジティブに生きているところとか、何事も前向きに考えているところ、本気で生きているんだな、と感じました。
演出もオンラインならではの工夫があり、引き込まれました。
芦谷さん:パワポは僕が担当していて、効果音もパワポに埋め込んでいました。当日の画面の切り替えは起塚くんがしていて、みんなで発表の練習をしだしたのは話の中身が決まってから、たしか10月くらいからだったと思います。
林さん:授業や中間発表で「時系列の発表や、誰でもできるようなありきたりの発表だったら、あまりに印象に残らないよ」って何回も先生に言われて。自分たちにしかできない発表はなんだろう、というのを考えてあの形になりました。
芦谷さん:演技も、やるんだったら全力でやるのが一番かなって。
ここまできたら全国1位になってやろう
今回、ロールモデルで作品づくりに取り組んでみて、いかがでしたか?
芦谷さん:休日を毎週のようにつぶして、みんなで作業していて、楽しかったです。つらかったけど。プレゼンの準備をするために集まって、結局時間が伸びて昼ごはん抜きになってしまったときもありました(笑)。
藤森さん:学年で3組しかなれない全国大会にエントリーできるチームに選ばれて、そのときから「全国行こう!」「ここまで来たら1位になってやろう」って、そういう思いでやってきて、実際にグランプリをいただけたのですごく嬉しかったです。
起塚さん:僕はリーダーだったのですが、自分がまとめるというより結構自分の意見を言わせてもらっていたなと思います。内容を作っていくときに、いろいろ案がある中で「どれを入れてどれを入れない」ということで揉めることもあったのですが、原くんと芦谷くんが話を進めるのに協力してくれて、とてもありがたかったです。
あとは大会当日が、実は英検の2次試験を受験する日とかぶっていて!試験が終わったあと急いでタクシーに乗ってきて、ちょっと大変だったのが思い出深いです。(笑)
最後に:「よくしていこう」という気持ちを大事に
最後に、1年間クエストに取り組んできて言いたいこと、伝えたいメッセージをお願いします。
林さん:積極的にやってみることが一番と思います。「これはやめておこう」「これよりこっちの方がいいから、これはやらない」とかではなくて、「とりあえずやってみよう」というのが本当に必要だと感じました。どうしたら伝わるか試行錯誤してみたら、きっといいものができると思います!
藤森さん:「自分は脚本担当じゃないからそこはおまかせ」というのではなくて、いろいろな人が積極的に意見を言って、「こっちのほうがいいな」と改善していくこと。みんなの意見をあわせて作っていくことが大事だと思います。
起塚さん:僕はやっぱり「面白い」っていうことを大事にしていたのですが、面白いのがいいからってなんでも面白くしていたら、審査員の方にわかりにくい話になってしまいます。やはり面白いのも大事だけれど、「印象に残る」「話がわかりやすい」ということを心がけたらいいのかなと思います。
芦谷さん:僕はパワポを担当したのですが、いかに手を抜かずにパワポを作れるかにこだわりました。人が演技で見せれるのには限界があると思うので、パワポの力を借りればよりいい作品ができます。「めんどくさいからやめとこう」ではなく、所々にアニメーションを入れたりして、演技を際立たせられたらいいと思います。
原さん:作っていく中でそれぞれの意見があるし、絶対どこかで食い違いが生じて、仲が悪くなるってこともあると思うんです。でも、それってそれぞれが「良くしていこう」と思っているから起こることだと思うんです。相手の意見を尊重して、自分の意見も伝えて、「こうする方がいいじゃん」ってお互いに話し合って、一つのものを作っていこうとすればいいと思います。
ありがとうございました!
淳⼼学院中学校・高等学校
歌丸茂雄(うたまるしげお)先生
沢山の人が集まる全国大会のステージでスポットライトを浴びて話す経験は一生に一度あるかないか。生徒たちにはそういうステージを経験させてあげたいという気持ちです。
自分たちで考えたり試す時間を長くとれるよう、会議の仕方、パワポの表現やお芝居の喋り方といった基本的な道具の部分は丁寧に教えるようにしています。学内の発表会では、他チームへの感想シートには「悪かったところ」、いわゆる「ダメ出し」のみ書くようにしており、それによって得られる「自信があったのに、相手には伝わっていなかった」という経験が、本番での伝わる発表に向けた改善につながっていると思います。
淳⼼学院中学校・高等学校
知的に社会に貢献できる人物、社会においてリーダーとなれる優れた人物を育てていきたいと願っています。淳心学院はキリスト教の価値観によって教育をおこない、キリスト教的価値観を身につけた人間の育成を教育目標としています。
▼グランプリ受賞チーム特集はこちら
この記事へのコメントはありません。