授業で意見が出ない?生徒がいきいき意見を交わせる「安心安全な場」の作り方

授業で意見が出ない?生徒がいきいき意見を交わせる「安心安全な場」の作り方
探究学習とは

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

学校コーディネータの佐藤瞬です。前回は、探究学習のテーマの決め方について、3つのポイントをお伝えしました。

今回は、「生徒たちから意見が出ない」というお悩みについて。探究学習の授業で、生徒たちが意見を出し合い、話し合えるような場づくりについてお伝えします。

授業で意見がでない?

授業で意見が出ない?生徒がいきいき意見を交わせる「安心安全な場」の作り方

「さあ、このテーマについてみんなで話そう!」

探究学習の授業で話し合いをしようとしたのに、期待していた反応がなくて困ったことはありませんか。

・生徒たちがぽかーんとしている。
・生徒からなかなか意見が出ず、議論が起こらない。
・一部の生徒は意見をいってくれるのに、話さない生徒は話さないまま。 

生徒の意見がとびかい新しいアイデアが生まれたり、コミュニケーションが活発になって生徒たちの関係が深くなったり。そんな授業をしたいと思っていたのに、反応がなかったり思ったように進まないと、どんなふうにしたらいいかわからなくなってしまいますよね。

いきいきとした雰囲気の中で、生徒たちが意見を交わす、そんな探究学習の授業にするためには、一体どうしたらよいでしょうか。

そのために必要なのが「安全安心な場づくり」です。

「教室が安心安全な場であること」が生徒の意見を引き出す

授業で意見が出ない?生徒がいきいき意見を交わせる「安心安全な場」の作り方

生徒たちがいきいきと、授業で意見を交わしている。たくさんのアイデアが生まれて、生徒たちが楽しそうに自分たちの意見を話し合っている。そのような教室には、共通していることがあります。それは、生徒にとって「教室が安心安全な場であること」です。

安心安全な場であるとは、「どんな意見が言われても承認されて、受け入れられる場である」ということ。もし、どんな意見も「おもしろい」「それは新しい視点だ」と受け取れらるような温かい雰囲気の中であれば、自分の意見も「ちょっと言ってみようかな」と思えます。そのような場であれば、生徒たちはいきいきと、意見を出し合って話し合うことができるでしょう。そのような場では、活発に意見の交流が行われていきます。

一方で、「おかしなことを言ったら笑われる」「意見をいっても反応がない」といった可能性のある場ではどうでしょうか?こんなことをいったらいけないのではないかと、自分の意見を言うことが難しくなってしまうでしょう。

ですから、生徒たちが活発に意見を交わすようになるには、まず教室の雰囲気づくり、「教室が安心安全な場であること」が重要なのです。

生徒がいきいきと意見を出せる「安心安全な場づくり」の4つのポイント

それではどのようにしたら、「教室を安心安全な場」とすることができるのでしょうか。そのためには、先生のあり方、生徒同士の関係の両方が重要です。

先生が、どんな意見でも受け入れて、承認していくようなあり方であれば、生徒たちが自信をもって発言しやすい場になっていきます。また、生徒同士がお互いに「何を言っても大丈夫だな」と感じることができれば、話すことは楽しいものです。

具体的にどのようにそのような関係をつくるのか、4つのポイントをお伝えします。 

1:「安心安全な場のためのルール」を決めて、想いを伝える

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まずは、「このような場にしよう」というルールを、生徒たちと共有しましょう。

「この授業ではどんな意見をいっても大丈夫。受け入れてもらえる」ということが明確にわかるルールがあれば、生徒たちのあいだにもそのような意識が働きます。「怖いけれども意見を言ってみようかな」という子どもたちの背中を押すこともできるでしょう。

安全安心な場をつくるためのルールとしては、例えば、

1.他人の意見を否定しない
2.自分の意見を否定しない
3.意見をどんどん出そう

といったものが考えられます。

そして、このルールを示す時に大切なのが、「先生が本音で語る」ことです。

「教材に書いてあったから、それを読む」「この記事に書いてあったから、とりあえずルールをしめす」というのではなく、「心からそのような場をつくろう」という気持ちで生徒たちと場を共有してください。

先生がこの探求学習の授業を通して、子どもたちにどうなってほしいのか、どんなことを大切にしてほしいのか、どんな学びを作り出したいのか。生の言葉で語った言葉は、生徒たちに伝わります。この場所は、安心安全な場になるという信頼が生まれ、自分の意見を言ってみることが勇気付けられるでしょう。

2.どんな意見でも面白がり、承認する

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ルールを共有したら、次は先生が「安心安全な場」を体現することです。

先生がどんな意見が出ても面白がり、承認していきます。これにより本当にどんな意見をいっても大丈夫なのだ、という安心安全な場が作られていきます。

ここでも重要となるのが、「先生の本心から行うこと」です。

たとえ安心安全な場のためのルールを設定し、面白がり承認しようとしたとしても、先生が本心から思っていなければそれは生徒に伝わります。

例えば、先生の中に「この意見はダメだな」「もっと真面目なテーマにしなくては」という想いがあると、例え表現しないように心がけたとしても、ちょっとした言葉の中に否定的なニュアンスが入っていたり、生徒たちとの受け答えの中で出てしまっていることがあります。

そうなれば結局、どんな意見も受け入れてもらえる環境ではなくなってしまいます。「結局は真面目なテーマを言ってほしいのだろうな」ということが感じられてしまい、生徒は自分の意見が求められている正しいものかどうかを判断して発言することになります。

どんな意見であっても受け入れ、おもしろがりましょう。それが、生徒たちへので承認のメッセージとなります。それぞれの意見に対して、良いか悪いかを判断したり、無理に価値づけしたりする必要はありません。出てきた意見に対して、「あーなるほどね!」と対等な立場で笑顔で受け入れるだけでも大丈夫です。

例えば、「身近で困っていること」をテーマに探求をしているとして、生徒たちから「おならを我慢しなくてはいけないことに困っている」という意見が出てきたら、どうしますか?

これを愛想笑いだけで流すのか、「自分もそういう時あるんだよね」と対等な立場で受けいれるのか。一人の人間として、生徒に向き合ってみてください。 

3.意見が出ないときは、先生が意見を言ってみる 

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また、そもそも意見が出てきていない時には、先生が率先して自分の意見を出してみましょう。授業で探求しているテーマについて、先生だったらなにを考えるのか、一緒に参加してしまうのです。

その時には、先生だから、大人だから、とちゃんとしたきれいな意見を言おうとしてはいけません。むしろ、「こんなこといってもいいのかな」と思うような枠をはみ出した意見を、先生があえて言っていきましょう。先生が枠を超えることで、生徒たちも枠を超えていきます。「どんな意見でも大丈夫なんだ」という場がつくられます。

 例えば、「身近で困っていること」が探求のテーマであれば、「優先席に座れない人がいる」「学校の周りでのポイ捨てが多くて気分が悪い」といったいかにも先生らしい意見ではなく、「自分の好きなアイドルに会えなくて困っている」「モテ方が全く見出せずに困っている」などの意見を例示してみせることができます。

普段の授業ではなかなか出すことがないその人らしさの感じられる意見であるほど、「あっそういう意見でもいいのだ」という安心感を与えられます。

ただし、先生が例示した意見に引っ張られた意見が増えてしまう傾向もあります。どんな意見をどのくらい言うのか、生徒たちはそこからどのように自分の意見を出してくるか、少し考えてみるとよいかもしれません。

4.生徒が一人で考える時間をしっかりとる

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最後に、「生徒が一人で考える時間をしっかりとること」です。

グループワークでも、いったん一人一人が、自分の考えに向き合う時間をとります。そうすることで、自分の意見がより明確になり、話すのが苦手な生徒も意見を発言しやすくなります。

話すのが得意な生徒だけしか話せない、という場合は、もしかしたら考える時間が必要なのかもしれません。

例えば、みんなで話をする前に、まずはひとりずつ、自分の考えを思いつく限り付箋に書いてみるというやり方があります。こうすることで、積極的に自分から意見を言えない子であったとしても、とりあえず書き込むことができます。まずは一人の「表現する場」をもって、自分の意見を出していくことができるのです。

いったん表現してしまえば、それをみんなの前でいうことは、何もない状態から意見をいうよりもうんと楽です。「何を書いたの?」と聞かれたら、付箋をみて気軽に出すことができるでしょう。

さらに、付箋の量は書けば書くほど増えていきます。「限られた時間でできる限りたくさん書く!」ということにすれば、ゲーム感覚でどんどん意見を出すことができます。

まとめ:生徒を信じて、待とう

授業で意見が出ない?生徒がいきいき意見を交わせる「安心安全な場」の作り方

今回は、どんな意見でも受け入れてもらえる「安心安全な場」をいかに形成するのかについてお話しました。ルールを作り本音で伝えること、どんな意見でも承認して面白がること、ときには先生の意見を言ってみること、そして生徒たちが一人で考える時間をとること、の4つのポイントをお伝えしました。 

安心安全な場で自由に意見を交流していくことで、互いの意見に触発された創造的な意見や考えが形成されていきます。それこそが集団で探究学習に取り組むことの醍醐味であると考えています。

先生方のもっとも大切な役割は、子どもたちの可能性を「信じて、待つ」ということです。すぐに意見がたくさん出るようになったりはしません。安全であることを信頼して意見を言うまでには時間がかかるからです。そこで焦らずに、どんな子でも自分の意見をもっており、その掛け合わせで創造的な学びが生まれるのだということを信じて、待ち続けていきましょう。

考え抜いた問いを提示し、みんなでルールを作り、先生が率先して楽しみながらも、信じて待つこと。地道なプロセスですが、その先に今まででは辿りつかなかったような実り多い学びの深まりを感じていくことができます。

ぜひ、その一歩を踏み出してみてください。

また、具体的に上記を進めていく場合には、無料で体験できる探究学習プログラム教材「ソーシャルチェンジ・ファースト!」もぜひご活用ください。

「安心安全な場のためのルール」の掲載されているワークブックや、生徒たちと接する際に意識すべきことを毎回の授業ごとに確認できる指導ガイドが用意されています。

「ソーシャルチェンジ・ファースト!」

探究学習の進め方について何かあれば、ぜひお気軽にご相談ください。教育と探求社の学校コーディネーターにご相談いただく事が可能です。

学校コーディネーター 佐藤 瞬

上智大学大学院総合人間科学研究科教育学専攻博士前期課程修了。大学院在学中に、青年海外協力隊として中米・ベリーズに小学校教員として派遣。2年間の勤務後に、公立...

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